中小企業が銀行融資を受けるには?主な種類や審査通過のポイントを徹底解説
銀行融資は中小企業が資金調達を検討する際に採用されることが多い手段です。実際に資金繰りの改善などを理由に銀行融資を検討しており、具体的な手順や審査のポイントなどを知りたいと考えている経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では、銀行融資の主な種類や特徴、手続きの流れ、審査通過のポイントなどを解説します。
1 銀行融資とは?
銀行融資とは、銀行が法人などの事業主に対して事業を運営するために必要なお金を貸し出す制度です。融資を実施する銀行は、都市銀行や地方現行、ネット銀行などがあります。主な資金使徒は、運転資金の確保や成長戦略への投資などが挙げられます。
銀行融資においては審査が厳しい傾向にあるため、事前に審査のポイントなどを把握した上で入念な準備を行い、手続きを進めることが大切です。手続きの流れや審査通過のポイントについて先に知りたい人は「銀行融資を受けるには?具体的な手順や審査の流れ」からお読みいただければと思います。
2 中小企業が銀行融資を利用するメリット
既に把握している人も多いと思いますが、中小企業が銀行融資を利用するメリットについて触れていきます。
- 金利が低く返済の負担を抑えられる
- 多額の資金を調達できる可能性がある
- 経営に介入されることがない
2-1 金利が低く返済の負担を抑えられる
銀行融資の金利は、銀行自身が資金調達する際にかかったコストや運営経費、資金を貸し出す事業主に対する信用力などさまざまな要素によって決定します。一般的には銀行融資の金利は「2.0%程度〜」というケースが多く、他の資金調達方法と比較すると金利は低い傾向にあります。
例えば、ノンバンクのビジネスローンは一般的に「10%〜15%」と銀行融資よりも高めに設定されています。
融資を受ける際には資金調達後の返済についても考慮する必要がありますが、銀行からの融資なら返済負担を抑えやすいです。
2-2 多額の資金を調達できる可能性がある
銀行融資なら返済能力や計画に問題がなく信用力が高いとみなされれば低金利で大口の融資が受けられる可能性があります。ビジネスローンの融資利用可能額は、50万円〜1,000万円以下が一般的ですが、銀行融資の場合は1,000万円単位、1億単位の融資も可能です。
資金使途に見合った金額を借りることができるため、資金繰りの改善や事業拡大など自社の目的を達成しやすい手段だといえます。
2-3 経営に介入されることがない
株式発行によって投資家から出資を受けた場合、株主側から経営について提案・意見したりなど自社の経営に介入されるケースがあります。さらに、特定の株主に対して多くの持ち株比率を与えてしまうと実質的に経営権を奪われ、事業運営に大きな影響が出てくる可能性もあります。
銀行融資なら借りた資金を約束通り返済していれば問題ないため、経営への干渉リスクを回避できます。
3 銀行融資の主な種類と特徴
銀行融資といっても以下のようにさまざまな種類があり、特徴も異なります。
- プロパー融資
- 信用保証付き融資
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 不動産担保融資
- 売掛債権・動産担保融資
3-1 プロパー融資
プロパー融資とは、銀行が事業主に対して直接資金を貸し付ける制度のことです。
信用保証協会を介在させずに融資を実行することから、銀行にとっては貸し倒れリスクが高まります。そのため、プロパー融資の場合は審査が厳しめであり、企業としての信用力や成長性がないと必要な資金を借りられない可能性が高いです。
ただ、融資限度額は設定されておらず金利も低い傾向にあるため、以下のような企業におすすめです。
- 多額の資金調達を考えている企業
- 財務状況や業績が良好で信用力が高い企業
- 条件の良い融資制度を利用したい企業
3-2 信用保証付き融資
信用保証協会の保証付き融資は、その名の通り保証協会の保証を付けられる制度です。信用保証協会の保証付き融資の一種として、地方自治体も加わった「制度融資」も存在します。
信用保証協会の保証を付けることで、銀行側は貸し付けた資金が万が一返済されなかったときのリスクを軽減できます。そのため、プロパー融資よりも審査のハードルを下げられるメリットがあります。
ただし、信用保証協会の保証付き融資を受ける際には、信用保証料の支払いや利用条件を満たす必要があります。なお、制度融資なら信用保証協会に支払う信用保証料の補助などを受けられます。
信用保証付き融資の利用が向いている企業は以下の通りです。
- 長期の借入を検討している企業
- 経営状況が厳しめで信用力に不安を感じている企業
3-3 日本政策金融公庫の融資制度
政府系金融機関の日本政策金融金庫の融資制度を活用する方法もあります。
さまざまな融資制度を用意していますが、一時的な業績悪化や経営改善に活用できる制度としては「セーフティネット貸付」や「事業再生・企業再建支援資金」があります。日本政策金融金庫の融資制度は金利が低い傾向にあり、借入期間も長く設定されていることが特徴です。
利用が向いている企業としては以下の通りです。
- 業績が一時的に悪化した企業
- 経営改善に取り組みたい企業
- 長期の借入を検討している企業
3-4 その他担保付き融資
担保付き融資としては以下のようなものがあります。
- 不動産担保融資
- 売掛債権・動産担保融資
3−4−1 不動産担保融資
不動産担保とは、担保として企業が所有する土地や建物などを銀行に差し入れた上で融資を受ける制度のことです。万が一借り入れた資金を返済できなくなった場合は、事前に差し入れた担保が売却され返済される仕組みとなっています。
担保を差し入れるため、無担保での融資と比較して金利が低い傾向にあり、返済期間も長めに設定されていることが特徴です。
不動産担保融資の利用が向いている企業は以下の通りです。
- 業績が不調でも融資を検討したい企業
- 今後の資金繰りが悪化しにくい資金調達手段を検討したい企業
3-4-2 売掛債権・動産担保融資
売掛債権・動産担保融資(ABL)は、企業が所有する売掛債権や商品在庫などを担保として活用する融資制度です。ただ融資額が大きくないと管理費用や調査費用に見合わないため、実行事例としては少ないのが実情です。また実際に担保にできるかどうかは、売掛債権であれば、対象の売掛先の信用力がポイントになりますし、動産であれば、例えば対象となる商品の換金性がポイントになります。
なお、売掛債権を活用して資金調達する手段としてファクタリングもありますが、両者は似て非なるものです。ABLは融資の一種であるため、ファクタリングと比べて大幅に安いです。
ABLの利用が向いている企業は以下の通りです。
- 先行支払いが多い企業
- 業績が一時的に悪化した企業
- 担保となる不動産を所有していない企業
4 銀行が取り扱う融資形態
銀行が取り扱う融資形態としては以下の4つがあります。
- 証書貸付
- 手形割引
- 手形貸付
- 当座貸越
4-1 証書貸付
証書貸付は、金銭消費貸借契約書を銀行に差し入れて融資を受ける仕組みです。金銭消費貸借契約証書には、融資額や返済期間、金利、返済方法などが記載されます。
融資形態の中で最も一般的な方法で、1年以上の借入で分割返済ができることが主な特徴です。ただ、証書貸付の場合は、書類の記入などに時間と手間がかかり、借入ごとに金銭消費貸借契約を取り交わす必要があります。
4-2 手形割引
手形割引とは、得意先から受け取った手形を、支払期日より前に銀行に売却して現金化して資金調達する方法です。
銀行に手形を買い取ってもらうことで早期に現金化でき、審査スピードも比較的早いため、一時的な資金繰りの改善策としても利用しやすい手段です。ただし、手形割引を利用する際には手数料が発生し、銀行の場合は一般的に2〜3%程度です。
4-3 手形貸付
手形貸付は、銀行に対して自社が約束手形を差し入れて資金提供を受ける方法です。
手形貸付は主に返済期間が1年以内の短期融資で利用され、大半が一括返済であることが特徴です。返済期間が短く融資実行の頻度も多いため、手続きは簡素化されています。ただし、短期融資であることから、設備投資や長期的な運転資金など多額の資金が必要なケースでは不向きな手段であるといえます。
4-4 当座貸越
当座貸越とは、銀行と借入側で当座貸越契約を結ぶことで融資を受けられる形態を指します。あらかじめ融資の極度額を設定、その範囲内で自由に借り入れや返済を行うことができ、資金繰りを改善させる目的としても利用しやすい形態だといえます。
ただし、銀行側からするといつ融資して、貸したお金がいつ返ってくるのかなどの利用状況を把握しづらく、貸し倒れのリスクが高いため審査は厳しめです。
5 銀行融資を受けるには?具体的な手順や審査の流れ
銀行融資を受ける際の具体的な手続きの流れは以下の通りです。
- 金融機関の選定・事前相談
- 必要書類の準備・提出
- 面談
- 審査
- 融資契約の締結
5-1 1.金融機関の選定・事前相談
まずは融資を申し込む金融機関を選定します。金融機関によって金利や融資上限額などが異なるため、自社の状況に応じて最適な銀行を選ぶことが大切です。メガバンクの場合は基本的に大企業向けの融資が中心で、中小企業が取引するとしても、年商10億円以上からと考えた方が良いでしょう。
信用金庫や信用組合は年商が小さくても親身に対応してくれるケースが多いです。
自社に最適な金融機関を探すなら税理士や選定候補となっている銀行と付き合いの長い人に紹介してもらうと良いでしょう。
5-2 2.必要書類の準備・提出
融資を申し込む金融機関が決定したら、必要書類を準備して提出します。必要書類は銀行によって異なりますが、一般的には以下の資料が必要です。
・資金繰り表
・事業計画書
・試算表
・決算書
・納税証明書 など
5-3 3.面談
銀行融資の手続きでは、銀行担当者との面談が必要になります。面談では提出した書類を確認した上で、経営内容や決算内容などに何らかの問題があった場合、その理由やより具体的な状況について説明を求められるケースがあります。例えば、連続赤字や債務超過となっている場合、より詳細な説明が求められるでしょう。
なお、面談では企業の業績を重視されますが、申込人である経営者の性格や態度、質問に対する対応といった「人間性」も重要な判断材料とされるため、面談中は上から目線など横柄な態度をとったりせず、誠実に対応しなければなりません。
5-4 4.審査
銀行担当者との面談後は融資の可否を判断するための審査が実行されます。審査は通常複数の融資担当者が関与し、支店長の最終判断で決まる融資と、金額によっては本部決済になる場合もあります。
具体的な審査基準は非公開とされていますが、審査のポイントとして把握しておきたいのは以下の5つです。
| 審査のポイント | 詳細 |
| 1.返済能力(返済財源) | ・事業の収益性やキャッシュフローの安定性が確立されている |
| 2.資金使途の明確さ | ・用途が具体的で適正であること
・無計画でもなく私的でもない |
| 3.財務状況(決算書の健全性) | ・赤字や債務超過は厳しくなる傾向
・貸付金、仮払金、立替金などが多い会社も銀行は嫌う |
| 4.担保や保証人 | ・回収不能になったときの代わりとなる手段
・取らない場合でも背景としてあるかどうか |
| 5.事業計画書と資金繰り表の現実性 | ・数値的な根拠も含めてきちんと説明できるかどうか |
5.融資契約の締結
無事に審査が通過すれば、契約となります。契約書の内容に特に問題がなければ契約締結となり、融資をした銀行口座に入金されます。
以上が大まかな融資手続きの流れとポイントになります。
6 銀行融資を受けやすくするために日頃から取り組むべきこと
中小企業が銀行融資を受けやすくするためには日頃から意識すべき取り組みが3つあります。
一つ目が「事業計画の作成」です。融資が必要になってからではなく日頃から事業計画を作成しておくことでスムーズに手続きを進められます。
二つ目が「財務管理の徹底」です。試算表や資金繰り表を定期的に作成し、経営状態を見える化しておきます。
最後は「銀行との関係構築」です。日頃から試算表や決算書の提出などを行う中でコミュニケーションをとっておくことで、銀行からの信用度の維持や向上につなげられます。
7 銀行融資の審査の通過が厳しくなる原因
銀行融資を申し込んでも、場合によっては審査に通過できない場合もあります。考えられる原因としては主に以下が挙げられます。
- ノンバンクなど銀行以外からの借入金が多い
- 事業計画の内容が雑で資金使途や融資額の根拠が確認できない
- 返済原資(返済に必要なお金)がない
- 決算が連続赤字であるなど財務内容が悪い など
8 実際に銀行融資を断られたときはどうすればいい?
実際に銀行融資を断られてしまった場合は次の手順を踏んで、再度融資に申し込むという選択肢もあります。ただし、これは自社の状況から時間に猶予があるケースです。
8-1 1.理由を確認する
まずは融資の審査に通過できなかった理由を把握する必要があります。
銀行の融資担当者に聞いても外部への審査基準の流出を防止するために曖昧な回答しか返ってこないケースもありますが、今後の改善のために聞いておくことが大切です。ちなみに昔はよく「総合的な判断で」という曖昧な表現が断り文句として使用されていました。
金融庁が定める「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」には以下のように金融機関の取るべき行動として以下のような文言が記載されているため、具体的な理由を教えてくれない場合は指針について言及してみるのも一つの方法です。
② 顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合
これまでの取引関係や、顧客の知識、経験、財産の状況及び取引を行う目的に応じ、可能な範囲で、謝絶の理由等についても説明する態勢が整備されているか。
8-2 2.問題点を改善して再度融資に申し込む
審査に通過できなかった理由がわかれば、実際に改善に取り組みましょう。例えば、「事業計画の不備(事業計画が曖昧であったり、実現可能性が乏しいなど)」という理由であれば改善すれば再チャレンジできる可能性があります。
なお、再度融資に申し込むときは別の金融機関に変えるのも方法の一つです。同じ銀行に申し込む場合は、6ヶ月は期間を空けてからといわれることが多いです。
また融資の成功確率を上げるなら、専門家のサポートを受けるのもおすすめです。
9 銀行融資以外の資金調達方法
銀行融資の審査通過が難しく、時間的にも猶予がない場合は他の資金調達手段も検討することが大切です。
- ビジネスローン
- 補助金・助成金
- クラウドファンディング
- 株式発行
9-1 ビジネスローン
銀行やノンバンクが提供しているビジネスローンを利用する方法があります。ビジネスローンは一般的な銀行融資よりも金利が高いですが、手続きは容易であるため短期間で資金調達することができます。
ただし、金利が高い分審査のハードルは低めではあるものの、借入可能額が低いというデメリットがあります。
ビジネスローンについては以下の記事で詳しく解説しています。
法人が事業資金を借りやすい手段は?調達期間・申し込みハードルなどの観点から紹介
9-2 補助金・助成金
国や地方自治体が提供している補助金や助成金を活用して資金調達することも可能です。
補助金や助成金なら原則返済不要であるため、返済負担を抑えられるメリットがあります。ただし、前払いではないため、支給されるまでの間は自社で必要な資金を立て替えるか、補助金を担保としたPOファイナンスを利用する必要があります。
また、審査や手続きに時間がかかるためスケジュールに余裕をもって申請しなければなりません。
資金調達におすすめの補助金・助成金6選!メリットや注意点も解説
9-3 クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で自社のプロジェクトページを掲載して不特定多数の人たちから資金提供を受ける方法です。資金提供のリターン(返礼品)を用意する「購入型」は採用されることが多い形式です。
アイデアが評価されやすいクラウドファンディングなら、事業存続や事業拡大を目的として利用することも可能です。
クラウドファンディングでの資金調達を成功させるためには、綿密な計画と魅力的なリターンを用意しておくことがポイントです。
クラウドファンディングで資金調達する方法や特徴、活用事例まで徹底解説
9-4 株式発行
株式発行は、自社で株式を発行して投資家に提供する代わりに資金提供を受ける方法です。投資家から受けた資金は返済不要の自己資本となるため、自社の財務体質の強化や経営の安定化にもつなげられる資金調達手段です。
ただ先ほども少し触れていますが、株主に経営をコントロールされる可能性もあるため、持ち株比率に注意しながら株式を発行することが大切です。
10 銀行融資を成功させるためには専門家への相談がおすすめ
銀行融資による資金調達を成功させるには、専門家の活用がおすすめです。
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11 銀行融資に関するQ&A
最後に銀行融資に関するQ&Aを紹介します。
11-1 銀行融資の審査の通過率を上げるには?
先ほども解説した通り、日頃からの企業としての取り組みや銀行との関係構築が重要なポイントになります。また、面談時の態度や質問に対する対応なども審査に影響します。
私たちリンクソートコンサルティングのようなプロのコンサルタントのアドバイスを受けると審査の通過率を上げられるでしょう。
11-2 赤字決算でも銀行融資を受けられる?
赤字決算では、審査において不利であることは事実です。しかし、普段から銀行との関係構築を行なっていたり、明確な返済計画や返済能力を証明できる企業であれば、銀行は理解を示してくれる可能性があります。
11-3 銀行融資の審査にかかる期間は?
銀行融資の審査期間は融資の種類などによって異なりますが、3週間から1ヶ月程度が目安と考えておくと良いでしょう。
必要な資金をきちんと計画通り調達するためにも、余裕を持って準備しておくことが大切です。
まとめ 銀行融資のポイントを押さえて資金調達を成功させよう
銀行融資にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴も異なります。融資の審査を通りやすくするためには、日頃の企業としての取り組みはもちろんのこと、専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。
私たちリンクソートコンサルティングは、「抜本再生」をコンセプトに中小企業の資金繰りの改善や事業再生を支援しています。銀行融資の審査に通るか不安に抱えている人もぜひお気軽にご相談下さい。






















