法人が事業資金を借りやすい手段は?調達期間・申し込みハードルなどの観点から紹介
安定して会社経営を行うためには、事業資金の確保が欠かせません。しかし、実際に必要な資金を調達するにあたって、手段によっては審査が厳しかったり、手続きに時間と手間がかかったりするケースも少なくありません。突然の資金ニーズなどに対応するためにも、比較的スムーズに借入できる手段も把握しておくことが大切です。
この記事では、中小企業の経営者が知っておきたい事業資金を借りやすい手段について紹介します。
1 事業資金とは?

事業資金とは、新しく事業を立ち上げたり、安定して事業を運営するために必要となる資金のことです。
事業資金は大きくわけて「設備資金」と「運転資金」の2つにわけられ、スムーズな資金調達を実現するために両者の違いを把握しておくことが大切です。
設備資金とは、事業における設備投資のために使われる資金です。例えば、事務所や店舗の建築費、内装費や設備費、車両購入費、パソコン購入費、Webサイト制作費などが該当します。
一方、運転資金は事業運営において仕入れ先など各方面への支払いを滞りなく行うために必要となる資金のことです。BtoB取引においては商品やサービスを販売して売り上げが発生したとしてもすぐに代金が入金されるわけではなく、先行支払いが発生するケースも多いです。必要な運転資金を確保しておくことで、売掛金が発生した際に売り上げ金が入金されるまでの期間の資金不足をカバーすることが可能です。
運転資金については以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
2 法人において事業資金を借りやすい手段とは

法人において事業資金を借りる手段は、銀行融資や制度融資、ビジネスローンなど複数の選択肢があります。
一口に「事業資金を借りやすい手段・借入先」といっても、何を基準として、かつ会社としてどのような状況・ステージにあるのかなどによっても答えは異なります。例えば、突然の先行支払いの発生などを理由に短期間で資金を借りたいのか、大口融資を受けられる借入先を探したいのか、業績が不調でも借りたいのかなどによって最適な手段は異なると言えるでしょう。
そのため、この記事ではわかりすく以下の3つの要素から総合的に判断して借りやすい手段を紹介します。
- 資金調達までのスピード
- 申し込み・審査のハードル
- 赤字でも借入が可能
3 事業資金において借りやすさを重視するなら「ビジネスローン」

上記で挙げた3つの要素から「借りやすさ」を考えると、銀行やノンバンクが提供するビジネスローンが選択肢として挙げられます。ここではビジネスローンを活用するメリットについて解説します。
- 最短即日で融資が受けられる
- 銀行融資と比較して審査基準が緩い
3-1 最短即日で融資が受けられる
まず、ビジネスローンは融資スピードが早いことがメリットです。銀行融資や公的融資と比較して、申し込みから融資実行までの時間が短く、ノンバンク系のビジネスローンなら最短即日で融資可能なケースもあります。そのため、先行支払いの増加や景気の変化などを理由に急に資金が必要になった場合でも迅速に対応できます。審査の申し込みにおいて必要書類も比較的少なく、オンラインで完結できる商品も多いため、忙しい事業者にとっても便利です。
なお、ビジネスローンは事業性資金であれば用途は自由で、運転資金や設備投資、新規事業立ち上げなど幅広い目的で利用することができます。
3-2 銀行融資と比較して審査基準が緩い
銀行融資は、会社の財務状況や信用情報、事業の成長性、返済原資などさまざまな要素をこまかにチェックして厳しく審査します。一方、ビジネスローンの場合は銀行融資と比較して審査基準が緩く中小企業でも利用しやすいです。決算書などの資料が不要なケースもあり、実績が少ない中小企業や起業間もないスタートアップ企業でも審査に通過できる可能性が高いです。赤字や債務超過でも融資が実行されるケースもあるため、会社存続のための手段として検討することもできます。
また、法人でビジネスローンを利用する場合、貸金業法の総量規制(年収の3分の1までの借入制限)の対象にはなりません。つまり、消費者金融などから借入するよりも大きな金額を借りられる可能性があります。
4 事業資金の調達においてビジネスローンを利用するデメリット・注意点

事業資金の調達においてビジネスローンを利用する際には以下のようなデメリットも把握しておくことが大切です。
- 銀行融資や公的融資と比較して金利が高い
- 融資額が低めである
- 今後銀行融資に影響が出る可能性がある
4-1 銀行融資や公的融資と比較して金利が高い
ビジネスローンは、銀行融資や公的融資と比較して金利が高く設定されています。銀行の場合は金利が2.0%〜3.0%程度がほとんどで、日本政策金融公庫の場合は利用する融資制度や貸付期間などによって適用される金利は異なりますが、「基準利率」として1.95〜2.65%に設定されています(2025年3月時点)。
一方、ビジネスローンの金利は2〜18%程度と幅が広く、上限も高めに設定されているのが特徴です。そのため、ビジネスローンを利用する際は、資金調達後の返済負担も考慮しながら検討しなければなりません。
ビジネスローンの金利が高い理由は、審査が緩く、経営状況が不調な会社も貸し付け対象となるためです。つまり、最悪貸し倒れになった時の損失を利息の支払いで最小限に抑えることを目的として高めの金利が設定されているということです。
4-2 融資額が低めである
ビジネスローンは、銀行融資や公的融資と比較して借入可能額が低いというデメリットもあります。銀行融資の場合は、1,000万円単位、1億単位の融資も可能です。また、日本政策金融金庫の「経営環境変化対応資金」の融資限度額は直接貸付で7億2,000万円となっています。
一方、ビジネスローンの融資利用可能額は提供会社によっても異なりますが、50万円〜1,000万円以下が一般的です。そのため、大規模な設備投資を行うなど多額の資金調達が必要なケースではビジネスローンの利用は向いていないといえます。
4-3 今後銀行融資に影響が出る可能性がある
ビジネスローンの利用は、今後銀行融資を受ける際に審査に影響が出る可能性があります。
特にノンバンク系のビジネスローンの利用歴があり、かつ借入金の返済が完了していない状態の場合、「経営が苦しいのではないか」と銀行の審査でマイナスな印象を与えてしまいます。
将来的に銀行でまとまった資金を調達したいと検討している場合は、ビジネスローンの利用は返済計画などを踏まえて慎重に検討しなければなりません。
5 借入以外で事業資金を調達する手段

事業資金を借りやすい手段としてビジネスローンを紹介しましたが、企業が資金調達を成功させるためには、借入以外の手段も把握して選択肢を多く持っておくことが大切です。具体的には以下のような方法も知っておきましょう。
- 出資
- クラウドファンディング
- ファクタリング
- 補助金・助成金
- 資産売却
5-1 出資(株式発行)
出資は、企業が株式を発行して投資家から資金提供を受けることで資金調達する方法です。新株で確保した資金は会社の自己資本となるため、融資のように返済義務がないことがメリットです。起業して間もなく実績が少ない場合でも、今後の事業の成長性や将来性を評価されれば資金調達できる可能性があります。
ただし、出資を行なった株主が経営に介入してくる可能性があるため、状況次第では今後の事業運営に影響が出てしまうかもしれません。
5-2 クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを通して不特定多数の人たちから小口の資金を募る方法で、資金提供のリターンとして返礼品を用意する「購入型」は、クラウドファンディングのなかでも採用されることが多い形式です。
クラウドファンディングサイトで魅力的なプロジェクトページを作成し、多くの支援者が集まれば多額の資金調達に成功できる夢のある手段です。
さらに、プロジェクトページをインターネット上に掲載すれば、ユーザーのリアルな反応を見ることができるため、商品・サービスの検証目的でも利用できます。
ただし、成功させるためには入念な準備が必要になり、資金調達まで時間と手間がかかるケースもあります。
クラウドファンディングで資金調達する方法や特徴、活用事例まで徹底解説
5-3 ファクタリング
ファクタリングとは、企業の売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化する方法です。売掛債権とは、商品・サービスの販売後に売り上げ金の支払いを受ける権利のことです。
ファクタリングを利用すれば、売掛金の支払い予定日よりも早く現金が入金されるため緊急時の資金調達にも向いている手段です。
但し、私たちは利用することをお勧めはしません。ファクタリングは非常に手数料が高いため、長期間にわたって繰り返し利用していると損益の悪化を招くだけでなく、抜け出せなくなってしまうのです。仮に利用するとしても、あくまで一時的な資金調達手段として捉えなければなりません。
5-4 補助金・助成金
国や地方自治体が提供している補助金や助成金を活用する方法もあります。補助金は企業の新規事業や設備投資などに必要な資金を支援する制度で、助成金は主に企業の雇用環境の改善や安定を支援するための制度です。
どちらも原則返済不要の資金であるため、資金調達後の負担を抑えられることがメリットです。なお、助成金なら受給要件を満たせば基本的に受給できるため、選ばれた事業者だけしか受給できない補助金と比較すると難易度は低めです。
ただし、補助金と助成金の多くは原則後払いになるため、資金調達のスピードを最優先に考えたい場合は他の手段を検討する必要があるでしょう。
資金調達におすすめの補助金・助成金6選!メリットや注意点も解説
5-5 資産売却
会社が保有している不動産などの資産を売却してまとまった資金を得ることもできます。資産を売却によって手放したくない場合はリースバックという方法もとれます。
例えば、社長の個人宅を売却してそのタイミングでリース契約を結び、リース料を支払う形のもとで利用を続ける手段は資金調達手段としてよく採用されます。なお、固定資産の売却は「買い手」を探す必要があるため、見つからない場合は現金化に時間がかかってしまいます。
資金調達の緊急性が高いケースなら、不動産ではなく不良在庫をセール対象として売却するなどして現金化するのも良いでしょう。
6 自社にマッチした資金調達先を選定するなら専門家の活用もおすすめ

現在資金繰りの課題があり、どのような資金調達手段を採用すればよいのか悩まれている人は専門家に相談するのがおすすめです。
専門家に相談することで、資金繰り改善のための的確なアドバイスをもらえたり、必要に応じて銀行融資での交渉など資金調達のサポートを受けられたりするため、自己判断で動くよりも会社を良い方向に導くことができます。
私たちリンクソートコンサルティングでは、中小企業の資金繰り改善や事業再生を支援しています。一時的な資金繰り改善にとどまらない「抜本再生」を強みとして、貴社の経営の安定化を実現します。金融機関との資金調達交渉やリスケのサポートも実施しているため、ぜひお気軽にご相談ください。
7 ビジネスローンを活用した事業資金の調達に関するQ&A

最後に事業資金の調達において、今回紹介したビジネスローンについてのよくある質問を紹介します。
7-1 ビジネスローンの目安の返済額や支払総額を知るには?
ビジネスローンの毎月の返済額や支払総額は、金融機関や返済期間、金利、借入希望金額によって決まります。
多くのビジネスローンでは、インターネットを通して借入・返済シミュレーションを用意しているため、借入希望金額や金利などを入力することで毎月の返済額や支払総額の目安を把握することができます。
資金調達後の返済を滞りなく行うための重要な情報であるため、事前に調べた上で借入を検討しましょう。
7-2 ビジネスローンで事業資金を借りられない原因は?
ビジネスローンは比較的審査が緩いですが、審査に通らないこともあります。主な原因としては他社からの借入金額や数が多い、延滞歴があるなどが挙げられます。
これらの理由からビジネスローンを利用できない場合は、借入状況を先に改善するか、借入以外の資金調達手段を検討する必要があるといえます。
まとめ 事業資金の調達先は自社の状況に合わせて選ぼう
事業資金を借りやすい手段の一つとして「ビジネスローン」を中心に紹介してきました。資金繰りが悪化し緊急性が高い状態にある場合において最も重要なことは、「銀行融資を受けられない」または「各方面への支払いが間に合わない」という経営状況を根本から見直すことです。ビジネスローンも含めて今回紹介した事業資金の調達方法はあくまでも手段であるため、「安定した経営の実現」という目的を見失わないようにしましょう。
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