不渡り寸前からの復活事例

ご相談の経緯

企業データ

  • L社
  • 資本金:2千万
  • 年商:3億
  • 従業員数:25名
  • 業種:建設業
  • ご相談時の経営状況:1ヶ月以内に手形不渡りの可能性
  • 経営悪化の原因:売上の激減
当社は、ご相談直前期の決算書では年商6億円で黒字であったが、本当は年商4.5億円で赤字。銀行から資金調達ができなくなることを恐れた社長が粉飾決算を行い、その決算書で1億の資金調達までして、資金繰りをつないでしまったのだった。しかし、その後も業績悪化に歯止めはかからず、対前年比で売上が▲50%で推移。見積もりミス、発注ミス、施工ミスなどの人的なミスも多発して、粗利も20%前後から1桁台へと急低下、それでも人員を減らさずに規模を維持しようとしていたため、調達した資金はみるみるうちに減っていき、遂には、1カ月以内に手形決済ができないまでに追い込まれてしまい、ご相談に来られた。

もしも振出した手形が不渡りになったらどうなるのか? 【代表:道家より】

銀行負債のリスケジュール交渉について

手形が不渡りになった後に起きる事・・

手形は、1回不渡りになっても、その後6か月以内に2回目の不渡りがでなければ、倒産にはならない、と言われています。確かに、1回目では、銀行取引停止処分と言われる、当座取引の停止(手形・小切手取引ができなくなる)、銀行融資の一括返済請求という状態にはなりません。しかし、1回目の不渡りが出た時点で、全ての銀行に情報が共有される仕組みになっており、この時点で追加の融資は望めません。また、どこに振り出した手形が決済できなかったかにもよりますが、仮に仕入先であれば、手形を振り出した会社が倒産したのではないかと興信所に問合せをしたり、他の取引先に情報を求めて連絡を取ったり、会社へ押しかけてきてすぐに払えと騒ぎ立てたりすることがあり、こうしたことで騒ぎが大きくなり、噂が広がっていきます。そうして、皆が知るところとなってしまえば、2回目の不渡りが出ていなくとも、取引先は手形を受け取ってくれません。むしろ、前払いでなければ取引に応じてもらえなくなりますし、得意先からは今後の事業継続の不安があるという理由から発注を見合わせると言われるなどして、急速に資金繰りが悪化し、事業継続が難しくなってしまうのです。ですから、1回目だろうが、2回目だろうが、実質的には同じこと、倒産に向けて進んでしまうのです。

生き延びるため手形の決済を待ってもらうことも・・

私たちは、上記のようにならないためにも、手形を決済できないのであれば、取引先に対して手形を取立に回さないように依頼すべきだと考えています。いわゆる、手形のジャンプ交渉と言われるものです。
この交渉方法は、基本的にはリスケと同様です。現在、自社がどのような状態にあって、これからどうなっていくのか、今回お待ちいただく支払について、今後どのように払っていくのかを、キチンと説明します。但し、その依頼対象先、支払方法などは、慎重に決めなければなりません。銀行のように、一律で同時に交渉すればいいということではありません。私たち、リンクソートコンサルティングは、取引先から見て納得のいく計画を作成することをモットーにしており、10年のコンサルティングキャリアを通じて、約30社のジャンプ交渉に携わらせて頂きましたが、これと決めた取引先から断られて不渡りにしたことは一度もありません。

解決にあたって重視したポイント

  • 初期のデューデリジェンス
  • 手形のジャンプ交渉
  • 負債のカット

ご相談から解決までの流れ

  • 1. ご相談
  • 2. ご契約
  • 3. デューデリジェンス
  • 4. 経営改善計画の作成
  • 5. 年間2億円の資金繰り改善効果をもたらす緊急資金繰り対策
  • 1ヶ月
  • 6. 3ヶ月連続2,500万円分の手形ジャンプ交渉
  • 4ヶ月
  • 7. 3.4億円の負債をカットする計画の作成
  • 8. 会社分割の実施
  • 9. 新会社での返済再開
  • 4ヶ月
  • 10. 新会社のモニタリング+旧会社の整理
  • 12ヶ月

問題解決を終えて 【代表:道家より】

事業・業務の改善

初初期のデューデリジェンスを通じて、経営悪化の根本要因が、親族間の甘え、不透明な経営数値、能力に見合わない役職など、同族企業に特有の問題であることがわかった。

2代目であった社長が事業拡大に成功した後、自らは会長となり、社長を身内に任せ、地域活性化団体や業界団体の役員など、公職に明け暮れ始める。その頃から売上が低下し始め業績が悪化。社長を育てるためと口出しをせずに見守ったが、業績は下降の一途を辿り続けたため、会長は社長として現場復帰した。

しかし、業績の大幅悪化を招いた身内に責任を取らせることはなく、営業部長として続投させた。売上を大幅に低下させた人物が営業のトップにいる。

また、2代目社長の息子が経理部長であったが、休みがちで、かつ、経営状況をタイムリーに把握できる状態ではなかった。当時、最新の試算表は3ヶ月前のもの、資金繰り表はあったが実績の現預金残と表の数字が合わない、予測数値の精度も低く土壇場まで資金繰りは読めなかった。現場ごとに損益管理も行われているが、そもそも社長がその数字を信用できないと言う。

こうした人物が経理のトップにいる。

こういった人事、処遇を見て、優秀な社員が辞めていった。そして、この積み重ねが、業績の悪化に歯止めがかからなくなっている原因だった。

しかし、これをすぐに改善することはできない。社長もわかってはいたが、自分の甘さと、人材がいないという切実な問題もあり、現状を変えられずにいた。

そこで、社長、営業部長、経理部長からなる経営改善チームを組成し、これまで機能していなかった取締役会に代わる、経営執行会議を導入。意思決定機関として位置づけを明確にして頂き、その運営を私が行う形で社内の改革をけん引することとした。

苦労したのは、営業部長と経理部長の意識を変えていくことだった。2人はどこか既に諦めたような感があり、仕事はやらされている感じでスピード感がまったくなかった。

そこで、まずは、経理部長に最新の財務内容が見えるよう数字の取りまとめを依頼。顧問税理士の協力も仰ぎ、直近3か月分の試算表を早急に作成した後、私の方で早急に今期現状のままで推移した場合の経営計画数値と資金繰り予定を作り上げ、2人と情報を共有した。

ここで、手形のジャンプ交渉に成功しなければ間違いなく倒産するしかない、ということを数字で示し、危機感を共有したのだ。2人は、これまで社長が何とかしてきただけに、今回も何とかしてくるのだろう、という甘い考えを持っていたようだったが、明らかに顔色が変わった。始めてここで、自分自身の問題として認識されたのだ。また、この局面を乗り切り、経営改善策が確実に実行されていけば、事業継続の望みはあるということも同時に訴えた。そのためには、2人の協力が不可欠である事も。

この会議を機に、会社の方向性がまとまり、経営のスピードがあがるようになる。

その後、経営改善チームでは、元々当期赤字は避けられない状況だったこともあり、ここで過去の粉飾決算を始めとした膿を全て出し、翌期に最低限営業黒字化させることを目標とし、リストラプランを作成した。

当面の売上見込みがこれまでの年商6億円から3億円未満の水準まで下がっていることから、事業面では、本社の移転と営業所の廃止、業務面では、施工部隊の外注化に踏み切り、さらに赤字の温床となっていた人員のリストラ、役員を始めとする社員の給与カット、経費削減等を含め、5200万円の損益改善効果を生むプランを立て、実行をフォローした。

緊急資金繰り対策

財務面では、銀行借入を利息のみの支払として、年間1.2億円(工事引当融資を含む)の元金返済をストップ。生命保険の解約、役員借入金、有価証券の売却等を行い、1.35億円の資金繰り改善効果を引出した。

それでも資金繰りが厳しい部分を、これらの計画実行を前提として、仕入先の手形ジャンプを3ヶ月連続、2,500万円分行い、その後、1年半かけて分割返済していく申し入れを行うこととした。

3ヶ月連続の手形ジャンプという異例の申し入れだけでなく、その後もこれまで通りの条件で仕入れをさせて欲しいという虫のいい話に、仕入れ先は当初激怒した。先方は、企業規模が当社と比べ非常に大きいが、会長始め、役員、担当者など7名が交渉の場に来て対応。まさに取り囲まれて責め立てられた。

しかし、ここを乗り切れば、何とか事業を継続していけることを訴え、最後は会長の理解を得て承諾頂いた。悪いことを隠さず、むしろ始めから出して、あえて厳しい交渉に臨んだ結果、その後の展望が大きく開けた。

これで当面の事業継続は見えたのだが、この計画通りに進んだとしても、まずは営業利益の黒字化までが目標という程度であり、借入金の利息を払うと赤字。売上予定など、何かが狂えば、いつまた倒産の危機に瀕するかわからなかった。明らかに過剰債務であった。

抜本的な再生へ

次に進めたのは、今後の当社の存続と成長を担保するための、より踏み込んだ計画作りだった。ここからは、経営改善チームに税理士、弁護士を新たに加え、さらに専門的な検討に入る。

その結果、周囲からは絶対に無理だと言われることになる計画を立案する。

それは、あの手形を3ヶ月連続でジャンプしたメイン仕入先を主要株主とする新会社を設立し、当社の良い部分(事業継続に必要な資産)と、将来生み出せる利益から返済可能な負債を、新会社に吸収させるという手法だった。これは、会社分割という制度を利用した方法である。

ご相談から解決までの流れ

このまま倒産した場合、無担保の借入金や買掛金は、総額の5%程度しか返済できない可能性が高い状態であった。そこで、会社分割によってできる新会社に、無担保の借入金や買掛金を総額の20%程度引き継ぐ計画とし、新会社でそれを払っていけば、経済合理性が高いのではないかという提案だ。

しかし、逆に言えば、この提案は、残り80%の借入金や買掛金は放棄して欲しい、と言っているようなものでもある。残り80%の負債を持っている元々の会社は、この計画を実行すると、現預金や売掛金を始め、設備関係なども含めて重要な資産を全て新会社に移してしまい、営業の実態がなくなってしまう。そして、いずれ整理する形になるためだ。

また、一般的にこうした手法を使う場合、金融機関の借入金だけを新会社に引き継がせる形を取るのだが、本件では買掛金も対象とした。これは、それだけ当社の財務内容が悪化していたためであり、難易度の非常に高い案件だったと言える。

もちろん、得意先が新会社との取引を認めるかどうかも重要なポイントになる。

こうしたことから、いくら経済合理性が高いと言えど、そう簡単には認めてもらえるものではないのだが、社長が得意先への説明に廻り、各債権者への根回しは弁護士が行い、私が主要株主の候補とした仕入先に足繁く通い、最終的には、債権者説明会を行い、遂にはこのプランを認めて頂いた。

その結果、3.4億円の負債をカットすることに成功する。

このプランには、様々なポイントがあるが、経営悪化の根本要因でもあった同族経営からの決別が重要な点と言える。

新たな株主が入っただけでなく、社長は経営責任をとって退任。当社側で新社長を探し新たに迎えた。社長は、顧問という形で収入源を残し、息子も経理担当者として残った。

新会社は、元の会社の売掛先を円滑に引き継ぎ、当初から好調な売上を上げた。新たな株主でもある、メイン仕入先は引き続き買掛取引を行った。新社長は、営業、施工管理に強く、元の会社と同じ轍を踏まずに利益を出した。経理財務は、元の経理部長が引き続き行うものの、新株主の要望もあり、1年間の予定で私もフォローした。

こうして、新会社は、初年度から無事に利益を出した。それも、これまで苦労した社員への賞与を払った上で、過去5年を振り返っても最高益を上げた。もちろん、引き継いだ20%分の負債の分割払いにも順調だ。

ここまで来るのに2年弱。トータルで5億を超える財務改善効果をもたらし、一連の再建策は終了した。残るは、元の会社の整理であるが、これは担保処分もあるため、かなりの時間を要するだろう。ここは随時の対応としている。この時点で、売上は約3億円と分割前と変わらないが、約2000万の黒字を確保しており、資金繰りの不安もまったくない。

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