赤字、債務超過、リスケ中だった会社が、他社の事業を買収!?

こんにちは。
資金繰り・事業再生の専門家、道家健一です。

今回は、ある2代目社長が経営する介護事業者さんのお話しをしたいと思います。
当社の社長は、いわゆる「できるタイプの経営者」というよりも、むしろやらされている感たっぷりの
「ダメ社長」でした。

そんな社長が、赤字、債務超過、リスケ中という状況でどんな対策を打っていったのか?
本当に他社の事業を買収するまでに至ったのか?
そして、経営していく過程で本当に大切なことは何だったのか?
などを、間近で伴走している私の目線と、社長ご本人の言葉も交えてお話ししていきたいと思います。

それでは、早速はじめましょう。

ご相談当時は会社中のお金をかき集めても数万円・・

当社は、年商約2億円の介護事業者です。
当時は、赤字で、債務超過(仮に今すぐに会社を清算すれば借金が残る状態)
当然ですが、銀行借入もできず返済のみになっていました。

そのため、「赤字でお金が減る」、「返済でお金が減る」という状態で、急速に資金が減少していたのです。
そこを補うために、当社は銀行以外から複数の借入をすることでしのいでいたのですが、すぐにそれも限界
となり、税金・社会保険、そして遂には、仕入代金までもが未払いになってしまいました。

こうして、月末の現預金残が、常に数万円しかないということが常態化していき、このままではいつ従業員の給与が払えなくなるかもわからない、そうした極限状態の中、わらにもすがる思いで、弊社へ相談にいらしたのです。

経営悪化の要因

ここに至るまでの経緯もご紹介したいと思います。
当社は、社長がまだ20代の頃に作られた会社ですが、元をたどれば、ご両親が経営する同業態の別会社として
作られたものであり、社長からすれば、言われたから社長に就任したという程度のことでした。

しかし、状況が一変します。
ご両親の会社が倒産してしまったのです。
当社は同業態とは言え、別会社であったことから生き残るのですが、この時点で既に、銀行からの借入は
難しくなっていきます。

こうして社長は形だけ社長になったつもりが、本当の意味で社長として経営をしていかなければならなく
なってしまったのです。

とは言え、いきなり人は変われるものではありません。
ご相談にいらした当時ですら主体的に経営しているというよりは、むしろやむを得ずやっているというくらいだったのですから。

そんな社長ですが、初めて自主的に新規事業に挑戦します。
ただ、そうした経験があったわけでもなく、決して練りこまれた計画があったわけでもなかったことから
目論見は大きく外れ、まったくお客が集まらずに赤字を垂れ流していくようになってしまったのです。

すると、社長は新規事業を何とかしようと、そればかりに力を注ぐようになります。
しかし、その分会社全体としての管理はおろそかになり、その結果、本業の方にも赤字が出はじめて
しまいます。

こうして、会社全体として赤字に転落してしまい、資金繰りはどんどんと悪化していったのでした。

成功のカギは社長の覚悟

このような会社、このような社長が経営していた会社は、その後どうなっていったのでしょうか。
結論からお話しすると、1年後に黒字転換し、3年後には創業来過去最高益へとV字回復
を果たすに至りました。

具体的な打ち手は、大きく言うと次の3つです。

1) 赤字を生み出していた新規事業と、赤字を出し始めた本業の一部事業所からの撤退
2) 銀行への元金返済を0円にするリスケジュールの実施
3) 数値管理を徹底し、売上額、粗利益額を向上させ損益を改善

例:シフトの見直しや営業日数の増加、売上加算ができる仕組みの導入 等

当たり前のことを、当たり前に、しかし、徹底的に丁寧に行っていきました。

まずは、とにもかくにも経営悪化要因を取り除く必要があります。
つまり、赤字を生み出していた新規事業と、赤字を出し始めていた本業の事業所を閉鎖する
必要があったわけです。

とは言え、やめるにもコストがかかるものです。
その資金をどう捻出するのかという問題もあったのですが、それよりむしろ、社長が両事業ともに
未練を残されていて決断に至れないという大きな問題を抱えていました。

こうしたことは、私たちからするとよくある話なのです。

―サンクコスト効果とは-
過去に払ってしまったお金や労力など、取り戻せない費用をサンクコスト(埋没費用)
といいますが、このサンクコストを惜しむあまり、もう少しがんばれば何とかなるのではないか?と
投資を継続しようとする意識が働いてしまうのです。

これをサンクコスト効果と言ったりしますが、多くの経営者がはまり込む罠の一つでもあり、
社長は、まさにここにはまっていたと言えます。

将来に向けての意思決定をする場合は、このサンクコストは考慮せず、あくまでも今後の損益だけを考えて判断するのが合理的と言えるわけですが、人間は合理性だけでは測れない生き物なのです。このままでは会社全体がなくなってしまう、従業員へも給与が払えなくなり、利用者のみなさんにもご迷惑をかけることになりかねない。

でも、せっかくここまで育てた事業をやめたくはない、と、頭の中でぐるぐると考えが巡ってしまい遂には思考が停止してしまうことすらあるのです。

ここから脱していただくために、私たちは、あえて未来を数字で示し、客観的に見て撤退の決断をしなければ倒産してしまうことをハッキリと告げました。
そして、
社長の仕事は決断をすること

であると、背中を押したのです。

その後、社長は、ご自身で決断され、資金面で紆余曲折はあったものの、新規事業も既存の赤字事業所も

無事に閉じることができたのでした。

具体的な改善施策の中身

撤退の決断ができたことで、銀行に対しても元金返済額を0円へと減額してもらう話しがしやすくなります。

銀行としても、この赤字状態から脱するための支援として、リスケジュールを受け止めやすくなるためです。

しかし、リスケジュールをしたからといって、資金繰りが改善するというレベルではありませんでしたから、

銀行以外からの借入、現在ある未払いと上手に付き合いながら、黒字転換はもちろん、黒字幅を増やしていくことが必要です。

そこで次に手を付けていったのが、当社が最も苦手と言える、数字の管理方法を改善することでした。

それこそ、顧問税理士の先生もおおざっぱな方で、決算書に記載されるべき数字が違っていたり、
試算表もきちんと不明点を詰めてくれなかったりするというような状況だったのです。

これでは、経営改善が進んでいきません。

数字の管理は、事業再生を行う上では基本中の基本。

数値管理なくして再生なし

と言い切れます。

そのため、税理士の先生もご紹介し変えていただき、さらには経理処理の業務フローも見直すことで、
意思決定が可能なレベルの数字を早く、正確に、わかりやすく出せるようにしていったのです。

こうして、打ち手がどのように数字に反映されてくるかをつぶさに見られるようになり
一層、経営改善が進みやすくなったと言えます。

また、私はいつも、『売上を上げるな、粗利率をあげろ』と言うことが多いのですが、
当社の場合非常に苦しい資金繰り状態だったこと、国からの縛りが多い業界でもあることから、
『ともかく粗利額を稼げ』と言い続けました。

それこそ、シフトを見直したり、営業日数を増やしたり、売上加算ができる仕組みをどんどんと導入
していったり、業者を見直したりと地道な改善を続けつつ、営業活動にいそしんでいったということです。

こうして生み出した利益を過去の未払金に充て、現在までに全ての未払金を解消することができたのです。

新たな事業成長を目指して・・

こうして事業再生を図ると共に、当面の資金繰りに目途が付いた段階で、新たな事業成長のためのビジョンを掲げました。
それは・・・

「利用者数地域No1企業になる」

ということです。

そして、そうなるためのアクションプランとして、

・新たに融資を受けられる体制作り
・新事業所の開設

も掲げました。

まだまだ高い山ではあるのですが、高みを目指すことでこそ、継続的な努力ができる部分もあると
思うのです。
そして、地域で一番人気の事業所である必要があるわけで、そのための工夫も怠らずに行っていこうという
決意でもあります。

こうして掲げながら走り始めた結果、早々にチャンスに恵まれ、新規融資を得ると共に、同業他社から
事業所を引き受けてくれないか?
という話しまで舞い込んできたのです。
この話し自体は偶然に来たものですが、その前から目標を掲げ、会社として準備をしていたからこそ
そのチャンスを掴むことができたのだと思っています。

年商約2億円だった当社ですが、他社から事業所を買収することに成功した結果、年商約3億円の会社に
成長を遂げることができたのでした。

再生していく過程で一番大事なこと

当社の社長に、会社を再生していく過程で、一番大事だと思うことは何か?と聞いたことがあります。
その時社長は、

・「決断すること

だとおっしゃっていました。
そして、一番苦しい時に、自分もやめたくない、やり続けたいと思っていた事業を、やめるという決断を
しろ、それが社長の仕事だと私に言われたことが今につながっていますと話してくれたのです。

それまでは、どこかやらされ感のある社長でしたが、新規事業や既存の事業所閉鎖を通じて覚悟が生まれ
本当の意味で経営者になったのではないかと思います。

まとめ

今回お伝えしたかったのは、経営者に覚悟が生まれ、腹が座れば、事業は好転していくということです。
それこそ、赤字・債務超過・リスケ中だった会社が他社の事業を買収できるまでになったということが
何よりの証だと思います。

当社の社長はまだ30代。しかも元々はやらされ感たっぷりで決断もできない2代目社長でした。
そんな社長でも、これだけ変われたのです。

今の会社はダメだから、今の自分はダメだから、そんなことは関係ありません。
やるのか?やらないのか?それだけではないでしょうか。

ともかく、その場にとどまらず「前に進む」のです。
そうすることでしか、今の状態を変えられないのですから。

まだまだ大変な状況が続いている会社が多いと思いますが、
一緒にがんばりましょう。応援しています。

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