倒産寸前から4期連続黒字へ、その鍵はトランスフォーメーション

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こんにちは。
資金繰り・事業再生の専門家、道家健一です。

コロナ禍で資金繰りに困っている企業が数多くあるわけですが、融資や税金社会保険などの繰り延べなども使って一時しのぎをしたら、次はどう黒字化するかという勝負になります。

今回は、そのためのヒントになるかもしれない、そう思ってコラムを書かせていただきました。
テーマは、「トランスフォーメーション」です。

聞いたことがあるような、ないような言葉ですが、この言葉が意味するところは、「変態」です。一応ですが、変質者の変態ではなくてですね、形態を変えるという方の意味です。昆虫が、幼虫からさなぎになり、成虫になるにつれ、まったく姿かたちを変えていく、あのさまを指したりします。

私たちの顧問先の中には、まさにこの言葉がうってつけという会社があるのです。倒産寸前だった会社が、業態を変えながら、現時点で4期連続黒字。このコロナ禍でも、借入をする必要がないほどキャッシュを持てるようになりました。

もちろん、一足飛びにこうなったわけではなく、大きく見れば、

選択と集中
事業の強化
事業の変態

という3段階を経ています。

それぞれ具体的に何をしてきたのか、このお話をしていきたいと思います。

ここに至るまでの経緯

今回ご紹介する顧問先A社は、設立10年にも満たないのですが、年商7億円まで上げるようになった建材の卸売会社です。ただ、ご相談にいらした際は、売上が直近2年の間に40%も減少し、黒字から大赤字へ大転落、そして、銀行借入はできない状態になっていました。

なぜここまで売上が減少してしまったかというと、これまで売上は増加の一途だったものの、同業他社に主要得意先を奪われてしまったのです。同じ商品を売ることができる同業他社がいる中、なかなか差別化が難しかったのだと思います。

社長は、これを機に本業の未来を悲観してしまい、事業の多角化へと走っていきます。それこそ、同時並行で複数の事業を立ち上げていくわけですが、これがことごとく失敗していくのです。

運命の分かれ道

新規事業が3つも失敗に終わっていく中、それでも社長はさらにアクセルを踏み込み、初期投資が大きく、事業経験のない2つのビジネスを同時に立ち上げました。1つは、5000万円程度の在庫を抱える事業で、もう1つは社員を現状から倍増させる事業です。

始めて早々に、まずは在庫を抱えた事業が思うようにいかなくなります。シンプルな話です。当初見込んでいた売り先が急に買えないと言い始めたのです。契約も何もない中で始めたことですから、こう言われればどうしようもありません。

そこから改めて様々な施策を打っていきますが、どれもすぐには成果がでない中、倉庫代が毎月100万円以上でていきます。もちろん、この事業のために雇用した社員もいれば、その他固定費もあります。資金が減るスピードは速くなる一方です。

そして、社員を倍増させた方の事業は、売上は上がり始めたのですが、経験値のなさが裏目に出て利益が出せません。この事業は、売上を上げることよりも、利益を出すことの方が難しい事業だったのです。

ミスがクレームにつながり、穴埋めのために追加費用がかかります。こちらも、人員を始めかなり固定費を増加させていましたから、やはり資金が減るスピードを速くしていきました。

ここに至ってから、ダメ押しの出来事が起きます。
それは、NO2からの独立したいという申し出だったのです。。

もちろん、引き止めはしたのですが、意思は固く辞めていってしまいました。これを機に、さらに本業の売上が減少することは間違いありませんでした。

こうして、手もとに1.5億円あったキャッシュは、たった2年で3000万円まで減少してしまったのでした。。

倒産寸前からどうやって黒字化していったのか

この会社がどうなったかと言うと、ビジネスモデルを変化させ続け、現時点で4期連続黒字。コロナ禍でも、借入をする必要がないほどキャッシュは潤沢となり、実は今、ほぼIT企業へと変貌を遂げています。

そうです。建材の卸売り業者が、IT企業です。
だいぶ変わりましたよね?

具体的に何をしたかというと・・

事業の選択と集中

まずは、その時点で大赤字であった、5000万円程度の在庫を抱える事業と、社員を倍増させた事業から撤退することを決断してもらいました。もちろん、こうした損切りの決断はそう簡単ではありません。既に投資した多額の資金をどぶに捨てるわけですから。。

しかし、このまま事業を継続した場合に、どのような未来が訪れるか、まさに命の時間がどの程度あるのか(キャッシュがどの程度もつのか)を可視化し、いやがおうでも決断せざるを得ないようにしていきました。

在庫はたたき売り、社員は配置転換やリストラ、事務所も移転。これらの撤退に必要な資金の確保のために、銀行借入はストップ、ノンバンク借入、資産売却も実施していきました。

事業の強化

次に行っていったのが、ビジネスモデルの再構築です。具体的にいうと、

・本業の客数を伸ばすためのフロント商品づくり
・従業員を倍増させた事業のビジネスモデル転換
・得意先である工務店を勝たせるための事業開発

になります。

●フロント商品作り

いきなり建材を買ってくださいと言っても、ほぼすべての会社が、既に別の会社から商品を購入しているわけです。そう簡単に変えてくれるわけではありません。そこで、建材を売る前に、まずは会社に興味を持ってもらうための商品、フロント商品作りから始めたのです。

例えば、金融機関との提携による超後払いサービス(通常60日後を最大150日後でOK)、手間のかかることの代行サービス(当社も利益はでないが損もでない)、新しいテクノロジー提案(業界内での最新情報やサービス)など。

これらを作り、見込み客を抽出して、DMや電話でアポ取りをしたり、HPを作って問合せを得て、訪問やオンライン商談につなげ、小さな取引から始めるという流れです。こうして取引口座を増やすことで、自然と建材の販売をしやすい環境を作り、徐々に客単価を上げていきました。

●従業員を倍増させた事業のビジネスモデル転換

この事業は、既に撤退していたのですが、失敗したなりに良い点も残っていたのです。それは、仕事を獲得するルートと能力が社長にはあったということです。それでもやめたのは、利益を出すのが難しいビジネスだったからです。

そこで、このビジネスは受注能力を活かした手数料ビジネスへと転換しました。単純な話、仕事を見つけたら、それを誰かに紹介して手数料をもらうということです。仕事に困っている会社、利益を出す能力がある会社であれば、これはこれでありがたいことなわけです。

こうして赤字事業は一転して高収益事業へと変身しました。

●得意先である工務店を勝たせるための事業開発

事業開発と言っていますが、つまりは新規事業です。懲りずにまた新規事業?と思われたと思いますが、まさにその通り、ここにきてもう一度新規事業です。

なぜ作ったかといえば、子会社に活かし切れない会社があったり、もともと面白い企画をもっている人がいたりした中で、当社の得意先を勝たせることができるという意味が加わったからです。

どんな事業かというと、得意先に仕事を発注する建設会社(デベロッパー)に対して、その会社独自の商品を開発し、その企画を買ってもらうというビジネスでした。

この企画が消費者にウケれば、デベロッパーは建物を建てることになるわけで、その発注先は得意先である工務店にしてもらうようにする、そこには当社が建材を卸す、という四方良しです。

このビジネスができた結果、それこそ、1度に10万円とか20万円の建材を販売していた会社が、1回で数千万円という企画を販売する会社へと大きく変わっていったのです。

 

事業の変態

こうしてビジネスモデルが変わり高収益を出せるようになったわけですが、この過程で得た3つのキーワードがあります。それは、社長の「強み」である営業力(数千万円の単価のものでも売れた!)、フロント商品作りで得た「新しいテクノロジー」、様々な「異文化を持つ人との関わり」です。

これらが掛け合わさった結果、さらに本業とは離れた新たなビジネスが生まれてきたのです。これをテスト的に始めてみると反響が良いので拡大していった結果、現在は、ほぼIT企業へと変態したということです。

 

過去の事業多角化が失敗した3つの要因

そもそも新規事業で失敗してきたにも関わらず、その後の新規事業ではなぜ成功してきているのでしょうか。以前と現在の違いを踏まえ、失敗した3つの要因を整理しておきたいと思います。

A)儲かりそうというだけでの選択(想いもなければ、強みも活かしていない)
B)自分はよくわからないと人任せ(成功要素の理解もなければ、計画もない)
C)はじめから大型投資でスタートダッシュ(お金があるから油断も隙もある)

現在は、こうした反省を活かして事業を作っているということ、そして何より、始めに事業の選択と集中、ビジネスモデルの再構築をしたことにより黒字化し、資金繰りに困らなくなったからこそ、精神的にも落ち着いてビジネスをつくれるため、大きな失敗には至っていないといえます。

もちろん、油断は大敵なのですが。

まとめ

ということで、最後に、今回のコラムをまとめておきたいと思います。お伝えしたかったことは、黒字化するにも順序があり、その黒字を拡大させる手段として、今の時代、事業の大転換、トランスフォーメーションも必要かもしれない、ということです。

黒字化していくための順序は、1)事業の選択と集中、2)事業の強化の順です。

そして、3)事業の変態へとつなげていくわけですが、もちろん、何でも儲かりそうだとやればいいものではないですし、一般的に事業の多角化の成功率は低いです。お客も商品も違うわけですから、当然のことと言えます。

それでも何かをしなければならないとすれば、

「自社の強み(社長の強み)」×「異文化を持つ人」×「新しいテクノロジー」

を掛け合わせたときに、何かが生まれるかもしれません。

これを成し遂げるために大切なことがあるとすれば、
それは、好奇心を持って変化を起こそうとすることだと思います。

話は飛びますが、日経サイエンスという雑誌に、こんな記事が掲載されています。約20万年前に起きた気候変動で、地球は氷河期へと移行し、当時の人類は絶滅の危機を迎えたそうです。それまで狩猟採集生活をしていた中で、動物も植物もいなくなり、数百人レベルまで減少したからです。

このような環境の激変の中で人類が生き残れたのはなぜか。
それは、それまで食べたことがない貝を食べたからだそうです。

今でこそ食べれるでしょうと思える貝ですが、何者かもわからず、食べれば自分たちが死ぬかもしれない中で、好奇心を持って貝を食べるというチャレンジした結果、私たちの祖先は生き残り、今の繁栄があるのです。このDNAは、私たちの中にもあるはずです。

私たちも引き続き顧問先を守るためにがんばります。
みなさんもがんばってください。応援しています。

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