事業再生を考えるタイミング

こんにちは。
資金繰り・事業再生の専門家、道家健一です。

まさに倒産寸前の会社から相談を受け、立て直していくという仕事をしているわけですが、
そんな私たちでも、相談いただく中で、「まだまだ間にあう!」という方々ばかりではなく
「もっと早く相談してくれれば・・」という方々もいらっしゃるのです。
では、私たちの中で、一体何がこの分かれ目になっているのか、そして、本来はどこで事業再生を考えるべき
なのか、今回はこれらについて考えていきたいと思います。

命の時間と黒字化に要する時間がバランスするか

命の時間

事業再生には、次の3つのステップがあります。
それは、
1.資金繰り改善
2.事業の黒字化
3.借金問題の解消(資金調達の再開)

になります。

最初に行うべきは資金繰り改善ですが、
その目的は・・、事業の黒字化までの時間を稼ぐことにあります。
この時間を稼ぐ為の資金繰り対策が、どれだけ残されているかで積み上がるお金の量が変わり、
会社が生きていられる時間が決まっていきます。
つまり、この積上げられるお金の量こそが、まさに「命の時間」と言えるものです。

この命の時間を計算式で示すと・・
手持ちキャッシュ+資金繰り対策によるキャッシュの積上げ-毎月減少するキャッシュ

⇒命の時間を長くするためには・・
●キャッシュを積上げる手を打つ
●毎月減少するキャッシュを減らす手を打つ
のようになります。

ここで算出した命の時間があるうちに黒字化させていくことができれば会社は生き残っていけますが、
できなければそのまま支払いができなくなり、会社はいずれ倒産してしまうことになります。

黒字化に要する時間

黒字転換していくための時間は、会社によってまったく違ってきます。
例えば、経費の使い過ぎで赤字ならば、無駄遣いをやめればいいだけですが、
多くの中小企業はそう問題がシンプルではありません。

そもそも、赤字の要因がなんなのか、数字で把握するところから時間がかかります。
普段からデータを取りまとめていなかったり、正確でなかったりするからです。
そして、赤字要因を排除したとしても赤字になることもあり、必要な売上を上げる、粗利率を上げる、
ビジネスモデルを転換するなど、複数の対策を同時に走らせなければうまくいかないケースも多々あります。
さらに言えば、社長が決めればすぐに黒字転換するのではなく、従業員の協力がなければ、
結果うまくいかないというケースもかなりあります。

何を言いたいかというと、黒字化に要する時間を安く見積もるな、ということです。

問題が多岐に渡っている中小企業の黒字化は、1年程度の時間は普通にかかると思った方が良いと思います。
逆に言えば、変化を早く起こし過ぎると、肝心の従業員が変化についてこられずに辞めるという事態も
起こります。
ここは何ともバランス感覚が必要なところでもあるのです。

いずれにしても、この命の時間と黒字化に要する時間の2つをバランスさせられるかどうかが
私たちが面談させていただいた際に「まだまだ間にあう!」と「もっと早く相談してくれれば・・」
の分かれ目になっているということになります。

「まだまだ間に合う」=「命の時間」>「黒字化に要する時間」
「もっと早く相談してくれれば」=「命の時間」<「黒字化に要する時間」

ただ、命の時間の算出も、黒字化に要する時間の算出もどちらも様々な見方があるので、
自分で考えたらもうダメだった・・と諦めるのだけはやめてください。

私たちのような専門家がみたら、このような道がある!と指し示せるものがあるかもしれません。
何事も、諦めたらそこで終わりなのですから。

銀行融資が止まると資金繰りはどうなるか?

資金繰りが悪化していくときに、典型的に起きる現象を時系列で簡単に示したいと思います。
1)赤字になり現預金が減りはじめる
2)銀行融資が出づらくなり現預金が減りはじめる
3)銀行融資が止まり現預金が急激に減りはじめる
4)資産の換金やリスケ(銀行融資の返済減額)をはじめる
5)支払繰延や高利の借入、身内からの借入などがはじまる

ここで示した通り、資金繰り悪化の根源的な要因はほとんどが赤字です。
赤字が出ると、融資に影響が出はじめ、2期連続、3期連続となればなるほど、融資が止まる可能性が増えていきます。
そして、もし融資が止まれば・・
赤字でキャッシュが減る、返済でキャッシュが減る、ということになり、
急激に現預金が減少していくことになるのです。

これは、感覚的にはわかる話だと思うのですが、その状況になってみると、
「返済を継続していれば融資が出るのではないか?」
「返済を止めれば二度と融資は受けられない」
「融資がなければ事業が継続できない」
などの考えや感情が渦巻いたり、目の前の資金繰り対策に追われたりしてしまい
『あっ』という間に現預金が減少してしまうということを覚えておいてください。

これは、多くの先人たちが経験してきたことであり、私たちは、それを何千という決算書を見てきた中、
数字で理解しています。
こうして見ると、赤字になり銀行融資が出づらくなりはじめたときが、最も早く事業再生を考え始めるべき
タイミングだと言えるのではないでしょうか。

「まだまだ間にあう!」と「もっと早く相談してくれれば・・」の相談例

弊社に相談にいらした会社の中で、それぞれ例を出してみたいと思います。

「もっと早く相談してくれれば・・」の例

1)ファクタリング(※1)を含む高金利の借入返済が厳しくなってからの相談
2)多額の未払いが発生してからの相談(会社の規模によるが数千万円以上)
3)多数の未払いが発生してからの相談(会社の状況によるが10先以上)

※1:ファクタリングとは、売掛金の前払いサービス。高いものだと利用料が
売掛金に対して10%~30%もかかる。

ここに示した3つは、最後の資金繰り対策であることが多いものです。
つまり、これ以上のお金の作り方がなく、命の時間が短い状態で相談にいらしたということになります。
それでも、即時黒字転換できる可能性があればいいのですが、そこも難しいとなると
あとはいばらの道であることを承知で、前に進むしかありません。
それでも何とかなるケースはあるわけですが、全体としてみればやはり再生可能性は下がってしまう
ということです。

「まだまだ間に合う!」の例

1)銀行融資の返済ができなくなりそうだという相談
2)赤字が止まらず資金繰りが厳しいという相談
3)買掛金の支払いができなくなってきているという相談

これらはよくある相談例ですが、まだお金を作り出せる可能性があり、命の時間を伸ばすことができます。
だからこそ、ある程度、黒字化に時間がかかると想定されても、「まだまだ間に合う!」
ということなのです。

社長は、なぜ一人でがんばってしまうのか?

赤字になり、融資が出なくなり、急激に現預金が減少し、未払いが出たり、高利の借入がでたりする。
聞いている人からすると、なぜそこまで手を打たなかったのか?と思われるかもしれません。
しかし、そう簡単ではないのです。

何か手を打とうと思えば、まずは問題の根幹が何かを見極める必要がありますが、
会社の規模が大きくなればなるほど、問題は複雑になり、見えづらくなります。
そこにきて、中小企業の悪いところですが、数字の管理ができていません。
例えば、年に1回の決算でしか数字を見ない、銀行に言われたから試算表を作る、3カ月遅れ
4カ月遅れで試算表が出てくる、こんなことはざらですし、
そもそも粉飾されていて正確な数字がわからない、ということもよくあります。

では、どうやって打ち手を決めているのかというと、それは社長の勘です。
普段ならば、これでも大きくは外れません。それが社長というものです。
ですが、業績が悪い、資金繰りが悪いとなると、この勘が途端に狂い始めるから不思議です。

さらには、社内にも外部にも相談できる人が中々いません。
会社の信用にかかわるような財務情報を、誰にでも話すというわけにもいかないのです。
仮に相談できる人がいたとしても、経営を理解している人でなかったり、社長に意見できる人でなかったり
すれば機能しません。
じゃあ税理士はどうなんだ?と言えば、経営のアドバイスまでできる税理士は、私の知る限りほんの一握りではないでしょうか。

こうした環境だからこそ、社長は一人でがんばらざるを得ないのです。
もし同じような状況の方がいらっしゃるとしたら、是非信頼のおける経営の専門家に相談してみること
をお勧めします。
会社のこと、自分のことを客観的に見てもらい、今どんな状態なのかどこに進むべきなのかを
俯瞰できるようになっていただきたいと思います。

まとめ

今回は「事業再生を考えるタイミング」というテーマでお話しをさせていただきました。
結局のところ、事業再生を考えるタイミングをまとめると・・
ベストタイミングは、
銀行融資が止まる可能性が高いとき
ということになります。

もしそうなれば、急激に現預金が減少し資金繰りが悪化していくため、早く手を打った方が良いからでした。
さらに、この銀行融資が止まる可能性が高いときとは、そもそもどんなときかと言えば
2期以上の連続赤字がでるときということになります。
これは気に留めておいてください。

そして、もし銀行融資が止まりそうだと思ったら、迷わず、事業再生の専門家に相談することを
お勧めします。
自社のこと、自分のことを客観的にみて、今がどのような状態なのか、どこへ進むべきなのかを
第三者の意見も交えて考えるべきときが、今まさに来ているのです。

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