資金調達さえうまくいけば会社は潰れない⁉実は私も間違えていました

こんにちは。
資金繰り・事業再生の専門家、道家健一です。
今日は、私の失敗談についてお話ししたいと思います。
以前面談させていただいたお客様の話です。
お越しいただいた方は、年商約3億円のブライダル関連会社の社長さん。
状況をお聞きしたところ、なんと、1ヶ月分の仕入代金を未払い、税金・社会保険も合わせて2000万円未払いという状態でした。
「私たちでも資金調達ができますか?」というご相談だったのですが、
正直申しますと、ここまでくると相当厳しい状態です。
中身を拝見していくと、決算書は粉飾されていました。さらに、すでに闇金にも手を出しており、なんと年利180%~360%で借りていたのです。
その社長が言い放った言葉が忘れられません。
「社長としての私の仕事は資金調達することです。これができるかできないかで私の価値が決まるんです」と。
つまり、「経営者の仕事とは資金調達」というのが社長の答えでした。
しかし、よくよく振り返ってみると、実は昔、私もこの社長と同じ考えでした。
私は十数年前に、資金調達のコンサルタントとして独立しました。
企業の経営者が皆、資金調達で悩んでいることは知っていたので、そこを解決すれば、
よくなるだろうと信じていたからです。
実際に、クライアントの資金調達に次々成功していき、会社として利益も出ていたので、その考えは確信となっていきました。
ところが、ある時、倒産情報を見て愕然としたのです。
私が資金調達のコンサルをした会社が掲載されていたからです。
あのとき資金調達に成功したのになぜ・・。ショックでした。
当然、電話をしてもつながりません。
お金を調達することによって一時的にはよくなりますが、そのお金をどう使うか、どう増やすか、その根本が変わっていなかったのだと思います。
このまま資金調達のコンサルを続けていても、いくら自分に利益が出たところで、金融機関に迷惑がかかり、クライアントにとっていい結果にならない。
そこで自分の考えを改めなければならないと思い、資金調達という対症療法だけのコンサルティングを止め、問題の根幹にまで踏み込んだ事業再生コンサルティングへと転換したのです。
この私の失敗経験から、皆さんにお伝えしたいことがあります。
「資金調達さえできていれば、会社は潰れない」と思っている方は意外と多いのですが、それは幻想だということ。
問題の本質から目を背け現状対処的な調達ばかりしても会社は倒産してしまいます。
資金調達は、ただの手段に過ぎず、必ず目的があるはずです。
資金調達自体が目的となり、手段と目的が入れ替わってしまっている状態では危険です。
既にそのような状態になっていたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。