資金繰りにおける借入金の返済が厳しくなる原因と対策を徹底解説
この記事では、資金繰りにおいて借入金の返済が厳しくなる原因や具体的な改善策などを詳しく解説します。
1 資金繰りにおける借入金返済に関する基本的な考え方とは

企業が金融機関から資金を借り入れた際、返済においては以下の考え方をもとに行われます。
- 利益償還
- 資金繰り償還
1-1 利益償還
利益償還とは、企業が日々の事業活動で生み出した利益、つまり「儲け」で借入金の返済を行う考え方です。利益は、会社の収益から事業活動で発生した諸費用を差し引いた金額です。
例えば、金融機関から200万円を借り入れ機械設備を導入するとします。その結果毎月50万円の純利益を生み出せるようになったため、そのうちの20万円を毎月の返済に充てていくという考え方が利益償還です。
このように毎月の利益から借入金の返済を行える状態であれば、資金繰りを圧迫することがないため経営状態は良好だと言えます。
1-2 資金繰り償還
資金繰り償還とは、利益以外のお金で返済をする考え方です。借入金の返済においては利益償還で行うのが基本ですが、事業の調子が悪い時は利益以外で返済しなければなりません。利益以外から返済する方法としては以下が挙げられます。
- 手元のキャッシュから返済する
- 新たに金融機関を探して融資を受ける
- 資産売却などで現金化してそのお金で返済する
資金繰り償還においては、売り上げ金が入金されるまでの間だけ融資による資金で返済するなど、計画的かつ一時的であれば問題ないですが、会社の業績不振で長期的に資金繰り償還を繰り返すと資金ショートにつながるため注意が必要です。例えば、資金繰り償還を繰り返した場合の現預金の動きを表で表すと以下のイメージになります。
| 利益 | 借入金返済額 | 預金残高 | |
| 前月繰越額 | 80万円 | ||
| 4月 | -10万円 | 5万円 | 65万円 |
| 5月 | -20万円 | 5万円 | 40万円 |
| 6月 | -15万円 | 5万円 | 20万円 |
| 7月 | -5万円 | 5万円 | 10万円 |
| 8月 | -5万円 | 5万円 | 0円 |
このように徐々に預金残高が減っていくため、資金減少の根本要因となる赤字を早期に脱却しなければなりません。
2 借入金の返済が厳しくなる原因と資金繰りに与える影響

借入金の返済が厳しくなる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には以下が考えられます。
- 不適切な資金繰り管理
- 業績悪化
- 事業の失敗
- 取引先の倒産
- 多重債務
2-1 不適切な資金繰り管理
まず、資金繰り管理が徹底されていない場合、資金繰りが悪化して借入金の返済が厳しくなることがあります。会社の収支の流れを把握していないと資金の使い方やタイミングを誤ってしまい、支払や返済が必要な時にお金がないという状態になる可能性が高くなります。
例えば、商品やサービスを販売した後に売掛金がいつ入金されるのかをきちんと把握していないと「来月分借入金を返済するためのお金がない」という状態に陥る可能性があります。
2-2 業績悪化
市場の変化や景気悪化の影響を受けると業績が悪化し、利益が出ない状態になるケースもあります。
利益が出ない状態が長期的に続くと、それは資金繰り償還を繰り返すことにつながるため、借入金の返済や資金繰りに影響を与えます。会社経営においては自社を取り巻く環境が常に変化し、加えて想定外の事態が起こる可能性もあるため、十分な運転資金を確保しておくことが大切です。
2-3 事業の失敗
事業の失敗も借入金の返済に影響を与える要因になります。例えば、事業拡大を目的に設備資金を金融機関から借り入れたのにもかかわらず想定していたリターン(利益)を得られず損失を被ると、返済による支出だけが増えてしまう結果となります。
つまり、利益償還できず利益以外の現預金などで返済しなければならない状態になってしまいます。
2-4 取引先の倒産
取引先が業績悪化などを原因として倒産してしまうと売掛金の回収が困難になり、会社の資金が不足してしまう可能性があります。そうなると、借入金を返済するためのお金もないという状態になってしまうでしょう。最悪の場合、資金ショートにより連鎖倒産を招いてしまう可能性もあります。
取引先の倒産を避けるためには、徹底した与信管理が必要です。与信管理とは、取引先の信用力を調査するための取り組みで契約前だけでなく、定期的に行うことが重要です。
2-5 多重債務
業績悪化などにより利益が出ていない場合、資金繰り償還を行わなければなりません。その際、既に取引している銀行への返済を行うために、新しい銀行を探して融資を受けた場合、当然ですが毎月の返済負担が増えることになります。借入額よりも返済額の方が多い場合、加速度的に資金繰りも悪化してしまうため、多重債務や自転車操業の状態は早期に解決しなければなりません。
また、毎月の返済が厳しいからといって無計画で高金利な借入に手を出してしまうことも会社をさらに厳しい状況に追い込んでしまう原因になります。
3 資金繰りにおいて借入金の返済ができないとどうなる?

借入金の返済ができないと以下のようなリスクがあるため、注意が必要です。
- 遅延損害金が発生する
- 追加融資が難しくなる
- 保証協会による代位弁済が行われる
- 担保を差し押さえられる
3-1 遅延損害金が発生する
まず金融機関に対する返済が期日より遅れてしまうと、遅延損害金が発生します。遅延損害金は、延滞日数に応じて計算されるため遅延すればするほど遅延損害金の金額が膨らんでしまいます。遅延損害金は以下のような計算で求められます。
遅延損害金 = 借入残高(または延滞元金額) × 遅延損害金の利率
※計算上「借入残高」と「延滞元金額」のどちらを使うかは契約書による
返済の督促に応じず放置していると一括返済を求められる可能性もあるため注意が必要です。
3-2 追加融資が難しくなる
借入金の返済が滞り、企業としての業績も悪化し収益力が低下している状態だと信用力や返済能力がないと判断されてしまい、追加融資が難しくなります。
新たに資金調達できずにお金を作り出す方法がないと各方面への支払や事業の立て直しも困難になり、倒産してしまう可能性が高まります。
3-3 信用保証協会による代位弁済が行われる
信用保証協会の保証付きで銀行融資を受けていた場合、返済不能になると信用保証協会による「代位弁済」が行われます。代位弁済とは、企業が金融機関への返済が難しくなった際に、代わりに信用保証協会が金融機関に返済する仕組みのことを指します。この仕組みにより金融機関は貸し倒れのリスクを回避して企業にお金を貸し出せるようになっています。
この代位弁済が実施されると、企業は信用保証協会に対して立て替えた金額を一括返済する義務が生じます。実際には一括返済は厳しいケースが多いため協議の上、分割返済が認められるケースもあります。また、代位弁済が行われた事実は信用情報機関に事故情報として登録されるため、新たな借入ができなくなります。
3-4 担保を差し押さえられる
借入金の返済が長期にわたって遅延していると金融機関から一括返済が求められ、それにも応じない場合は最終的に担保を差し押さえられる可能性があります。担保の差し押さえとは、金融機関が借入金を返済しない企業の財産を差し押さえて強制的に処分(売却)し、貸付金の回収を図る手続きのことです。
担保が差し押さえられると企業が所有している不動産や設備などの資産を失ってしまいます。担保の差し押さえを回避し会社の資産を守るためには、返済の督促にはきちんと応じる、状況が厳しいなら銀行に相談して返済条件を見直すなどの対策が必要です。
4 借入金の返済が難しくなった時の対処法

借入金の返済が難しくなった時には以下のような対処法を検討する必要があります。
- 金融機関に対してリスケジュールを申し込む
- 資金繰りを改善して会社内のお金を増やす
なお、ここで紹介する資金繰り対策を会社独自で実施する場合は、黒字転換施策とセットで行わなければなりません。なぜなら、根本的な資金減少の要因である赤字を解決できないのであれば、ただの延命措置に過ぎないからです。
資金繰り対策は「黒字転換までの時間稼ぎである」ということを前提として対策を検討して下さい。
4-1 金融機関に対してリスケジュールを申し込む
金融機関に対するリスケジュールとは、返済条件の変更を依頼する取り組みです。例えば、毎月の借入金の返済額が大きい場合、一定期間利息のみの支払いにしてもらうようにします。リスケジュールの交渉に成功すれば一時的に毎月の返済負担が軽減されるため、その期間中は事業の立て直しに注力できます。
しかし、銀行側は会社の収支状況や今後の収益の見込み、返済意思などをもとに慎重に評価し、リスケジュールに承諾するか判断します。リスケジュールの成功には説得力のある経営改善計画やコミュニケーションが必要になり、専門性が問われる取り組みであるため、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
4-2 資金繰りを改善して会社内のお金を増やす
現状借入金の返済が厳しい状態ということは、会社内の現金が足りていないことを意味します。そのため、緊急資金繰り対策として以下のような施策を実行し、運転資金に充てられるお金を増やしましょう。
- 遊休資産や在庫の売却などによる現金の確保
- 売掛金の早期回収のための交渉
- 支払の繰延交渉
- 固定費の見直し など
このような資金繰り対策を徹底して行えば事業の立て直しまでの時間を稼ぐことができ、並行して黒字化施策を実行すれば事業存続の可能性を高められます。
5 日頃から取り組みたい借入金の返済負担を軽減するための対策

日頃から借入金の返済や資金繰りの負担を軽減するためには、以下のような対策を検討する必要があります。
- 資金繰り表を作成して未来の入出金をこまめに把握する
- 安定的に利益を確保する
5-1 資金繰り表を作成して未来の入出金をこまめに把握する
資金繰り表とは、会社の一定期間のお金の流れを可視化した表を指します。資金繰り表を作成すれば、この先いつお金が入ってきて出ていくかを事前に把握できるため、返済や支払に充てるためのお金を確保しておくことができます。例えば、3ヶ月先に現金が不足すると予測できた場合は、事前に資金調達を行うなど必要な対策をとれるでしょう。
また、繰上返済できそうな資金に余裕がある時期も事前に確認できるため、計画的に返済を進められるでしょう。
資金繰り表とは?種類やメリット、作り方を初心者にもわかりやすく解説
5-2 安定的に利益を確保する
繰り返しにはなりますが、金融機関に対する借入金の返済は利益償還で行うのが基本です。毎月安定して売り上げを上げて利益を生み出していれば、利益償還が可能であるため返済や資金繰りに苦しむことはなくなります。
そのため、新規顧客の獲得やリピート顧客の維持などに力を入れて売り上げ向上を図ることが大切です。
もし利益率が低い場合は、以下のような施策もあわせて検討して下さい。
- できる限り安くて質の良い仕入先や外注先を開拓する
- 原価管理を徹底して利益改善を図る
- 値上げ交渉を行うなどして儲けを増やす
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まとめ 資金繰り管理と利益確保を徹底して借入金の返済を問題なく行おう
金融機関に対する借入金の返済においては、利益償還と資金繰り償還の2つの考え方がありますが、健全な会社経営を実現するためには利益償還の考え方をもとに返済を実施するのが基本です。しかし、さまざまな原因により会社の資金繰り状況が悪化し、返済が厳しくなるケースも少なくありません。
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