法人向け資金調達の方法11選!資金繰り改善におすすめの手段も紹介
企業の安定した経営の実現や事業の発展のためには、外部からの資金調達が必要です。実際に資金繰り改善などの目的から資金調達を検討している経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では、法人におすすめの資金調達の方法11選を紹介します。資金繰り改善で検討したい資金調達方法にも触れているのでぜひ参考にしてください。
1.資金調達とは?
資金調達とは、企業が目的に沿った手段で必要な資金を外部から調達することです。
資金調達が必要になるケースはさまざまですが多額の資金が必要になった場合、手元の資金だけでは対応しきれないことも多いでしょう。
そのため、企業が資金調達の選択肢を把握して、必要な時に必要なだけ資金を調達できる体制・ルートを構築することは、安定した経営や事業の成長には欠かせない要素であるといえます。
2.企業で資金調達が必要になるケース
企業で資金調達が必要になるケースは以下です。
- 資金繰り改善
- 新規事業の立ち上げ・既存事業の拡大
- 設備投資
2-1 資金繰り改善
事業運営においては、商品・サービスを販売した際の売り上げ金の入金だけでなく、仕入れ先への支払などの支出も発生します。
景気の変化による業績悪化など何らかの原因で資金繰りが悪化し、収支のバランスが崩れてしまうと資金不足に陥ってしまいます。
そのようなリスクを事前に回避するためにも、資金調達は有効な対策の1つです。
2-2 新規事業の立ち上げ・既存事業の拡大
新規事業の立ち上げや既存事業の拡大を行う際にも、資金が必要になるケースもあります。
具体的には、新しい人材を採用するための費用、広告宣伝費、機材の導入費などさまざまなコストが発生します。
また、仕入れ先への先払いが先行して、後から売り上げ金を回収するビジネスの場合でも運転資金がないと資金繰りの悪化につながるでしょう。
事前に事業計画をしっかり立てたうえで発生する費用の項目を洗い出し、必要な資金を調達することが求められるでしょう。
2-3 設備投資
企業のさらなる発展のために、設備投資する際にも資金が必要です。
例えば、社員用のパソコンを購入する、業務効率化のために各種ソフトウエアを導入する、商品の生産に必要な機械を導入するなどのケースでは資金の確保が必要になります。
土地や建物、機械、車両など投資する対象によっては多額の資金を事前に用意しなければなりません。
多額の資金調達を行えば、それだけ返済額も増えるため事前に綿密な返済計画を立てておくことが大切です。
3.法人における資金調達の種類と具体的な方法
法人における資金調達の種類は、大きく「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」に分けられます。
細かく分類すると以下のようになります。
種類 | 資金調達方法 |
デットファイナンス (負債を増やすことで資金調達を行う) |
・銀行融資 ・ビジネスローン ・社債の発行 など |
エクイティファイナンス (出資で資金調達を行う) |
・新株の発行 ・クラウドファウンディング(投資型) |
アセットファイナンス (保有している資産を活用して資産調達を行う) |
・資産の売却 ・リースバック ・ファクタリング ・M&A など |
その他 | ・補助金・助成金 ・自己資金・知人からの借入 |
次から具体的な資金調達の方法について詳しく解説します。
3-1 銀行融資
銀行融資は、資金調達の手段の中でも採用されることの多い方法です。
例えば、「2024年版 中小企業白書」の 調査によると、設備投資における資金調達先として「金融機関からの借入れ」が最も多い割合となっています。
融資の選択肢としては銀行や信用金庫の他、政府系金融の日本政策金融公庫でも融資制度を取り揃えています。
金融機関から融資を受けた際には、借り入れた資金を返済する義務が生じます。具体的には元金に対してあらかじめ決められた利息を加えて返済していきます。
融資額や返済期間、金利については融資の条件や金融機関との合意内容によって決定します。
銀行融資で資金調達するメリットは、審査の結果信用力が高いとみなされれば低金利で大口融資を受けられる可能性があることです。
一方、デメリットは審査が厳しい傾向があり赤字経営が続いていたり、会社設立・創業から間もないスタートアップ・ベンチャー企業の場合は審査に通りにくいことです。さらに、審査には時間がかかるため、スケジュールに余裕を持って手続きを行わなければなりません。
3-2 ビジネスローン
ビジネスローンは金融機関やノンバンクが提供する短期借入手段です。
銀行融資と同じく、借り入れた資金については返済義務が生じます。
また、使途は原則として運転資金や設備投資など事業に関連することに限定されます。
ビジネスローンを活用するメリットは、迅速な資金調達が可能なことで最短即日で審査結果がわかる商品もあります。
銀行融資と比較すると、柔軟な審査基準を持っているため審査が通りやすい特徴があります。
銀行融資の審査に通過できなかった場合にビジネスローンを検討するのも1つです。
しかし、ビジネスローンは金利が高めに設定されている傾向があり、返済負担が大きくなる場合があります。
さらに、調達金額が銀行融資と比較すると少額になりやすいこともデメリットといえます。
3-3 M&A(事業譲渡)
M&A(企業の合併や買収)は、事業拡大に活用する他、資金調達にも有効です。
事業譲渡という形をとり、自社の経営方針から外れた事業などは他社に譲渡(売却)をすることで資金を調達できます。
業績が不調で自社が目標とする利益が見込めない事業であっても、他社が必要としているビジネスであれば譲渡できる可能性があります。
事業譲渡による資金調達のメリットは、まとまった資金を得られるのに加えて会社のスリム化を図れることです。
一方、デメリットは譲渡相手を探す必要がある他、従業員や取引先の同意を得なければならないなど手続きが複雑で契約が完了するまで時間がかかることです。
3-4 社債の発行
社債とは、企業が資金調達するために発行する債権のことで、投資家が社債を購入することで資金を確保できる仕組みです。
社債は簡潔に言えば企業の借金であるため、投資家から資金の提供を受ける代わりに利息を定期的に支払い、満期までに元本を償還しなければなりません。
社債による資金調達なら、調達した資金に使途が限定されていないため経営に幅広く利用できます。
さらに、基本的には金利や返済の条件を企業側で設定可能であることから、返済計画を立てやすいです。
デメリットは、投資家数が限定されるため、必然的に資金調達額が限られることです。
つまり、通常は社債では大規模な資金調達が難しいといえます。(銀行が社債を引き受ける場合もありますが、基本的には優良企業向けであり、一般的とは言えません)
3-5 新株の発行
新株とは、資金調達などを目的として株式会社が追加で発行する株式のことです。企業が新株を発行する方法は以下の3つがあります。
- 株主割当・・・既存の株主に新株を発行して出資してもらう方法
- 第三者割当・・・株主以外の第三者に新株を発行して出資してもらう方法
- 公募増資・・・株主を新たに募って出資してもらう方法(※上場企業のみ使える)
新株は社債と同様に投資家から資金を提供してもらうことに変わりはありませんが、新株で確保した資金は会社の自己資本となるため返済義務がありません。
しかし、株式を発行できるのは株式会社のみです。つまり、合同会社の場合は新株の発行以外の方法で資金調達を検討しなければなりません。
3-6 資産の売却
企業で固定資産を売却して資金を調達することも可能です。
今後使用予定のない土地や建物、機械、車などがあれば売却を検討すると良いでしょう。
固定資産を売却することで、返済不要のまとまった資金を得られます。
また、固定資産税といった資産の維持費の削減にもつながるでしょう。
ただし、固定資産を売却する場合は「買い手」を見つけなければなりません。
買い手が見つからない場合は、現金化に時間がかかってしまいます。また、買い手が見つかったとしても売却のタイミングや契約内容によっては、希望する金額を調達できない可能性もあります。
3-7 リースバック
リースバックとは、固定資産を売却すると同時にリース契約を行い、リース料を支払う条件のもとで利用を続ける方法のことです。
例えば、よくあるケースとしては社長の個人宅をリースバックして資金調達するという方法があります。
ちなみにリースバックと似た制度にリバースモーゲージがあります。
リバースモーゲージは、自宅を担保として資金を借り入れる仕組みで、死亡時に不動産を売却して一括返済します。
リースバックは自宅などがあれば資金調達できるのがメリットですが、売却後のリース料が発生するため毎月支払えるだけの収益力を維持しておくことと、信頼できる売却先を探すことが大切です。
3-8 補助金・助成金の申請
国や地方自治体が実施している補助金・助成金制度の活用も検討したい手段です。
国や地方自治体では、事業再生や起業支援などを目的としてさまざまな制度を用意しています。
制度の種類が豊富であり、それぞれ申請の条件や期間も異なります。
補助金・助成金を活用するメリットは、融資とは異なり返済不要なケースが多いことです。
しかし、申請においては手続きが複雑でかつ競争率も高いため、審査に通過できない可能性もあります。
さらに、多くの助成金・補助金の場合は原則後払いとなっているため、まとまった自己資金を確保しなければなりません。
つまりは、早急に資金が必要なケースでは不向きな方法だといえます。
3-9 ファクタリング
ファクタリングとは、自社の売掛債権を売却して現金化する方法のことです。
ファクタリングには大きく分けて2種類存在し、「自社」「取引先」「ファクタリング会社」の3社間で契約する3社間ファクタリングと、「自社」「ファクタリング会社」の2社間で契約する2社間ファクタリングがあります。
売掛金の回収に時間がかかってしまい、各方面への支払が難しい場合にファクタリングを利用することで必要な現金を確保できます。
しかし、ファクタリングは手数料が高いことがデメリットです。
つまり、本来入ってくるはずの売掛金より少ない金額が入金されることになります。
また、しっかり資金計画を立てないと、使い続けることとなり、簡単には抜け出せなくなってしまうでしょう。
3-10 クラウドファンディング
クラウドファンディングは、多くの個人投資家から小口の資金を募る方法のことで、インターネットを通して実施されます。
クラウドファンディングにはさまざまな種類があり、例えば以下のような形式があります。
- 購入型・・・資金提供のリターンとして返礼品を用意する
- 寄付型・・・寄付と同様リターンは基本的に発生しない
- 投資型・・・リターンとして株式などを提供する
クラウドファンディングを実施するメリットは、インターネットを通して多数の投資家から資金を調達できるため、多額の資金を確保できる可能性があることです。
さらに商品やサービスの宣伝効果も期待でき、検証目的で市場の反応も見られるでしょう。
しかし、成功させるためには事前にしっかりとしたマーケティング戦略と魅力的なリターンを用意する必要があります。
3-11知人・親族からの借入
必要な資金を確保する方法として知人や親族に相談する方法もとれます。
自身の周りに頼れる人がいれば、積極的に相談するのも良いでしょう。
経営者個人に関係のある人からの借入であれば銀行融資などのように審査が不要で、比較的早く資金を調達できるでしょう。
ただし、親族間であっても金銭消費貸借契約書を作成しておき、贈与税がかからないようにしておくことが大切です。
また信頼できる人からの借入でも返済の遅れや双方の認識の違いなどの原因から、後にトラブルに発展する可能性があるため慎重に検討しなければなりません。
4.ケース別:資金繰りにおいて検討したい資金調達方法
上記で紹介したように資金調達にはさまざまな方法があるため、自社の目的や状況によって適切な手段を選択する必要があります。
資金繰り改善の観点では、状況によって検討できる資金調達方法は変わります。
例えば、手元の資金に余裕がある間に長期的な資金計画を立てたい場合や、支払まで猶予がある場合なら金融機関からの融資がおすすめです。
また、大前提として資金繰り改善においては抜本から見直していく必要はありますが、緊急時で一時的に資金が必要なケースもあるでしょう。
その場合は買い手が見つかればすぐに現金化できる不要な資産の売却や、リースバックなど即効性の高い方法が選択肢として挙げられます。
5.資金繰り改善のために資金調達する際のポイント
資金繰り改善のために資金調達する際には以下のポイントを意識しておきましょう。
- 現状の資金繰り状況・資金使途を把握する
- 手元資金に余裕があるうちから資金調達を検討する
- 融資なら資金繰り表などの必要書類の準備が必要になる
5-1 現状の資金繰りの状況・資金使途を把握する
資金調達を検討する前にまずは現状の資金繰りの状況を把握することが大切です。
具体的には、資金繰り表を作成して現状手元にどのくらい資金があって、今後資金はどのように動くのかを分析します。
加えて返済原資(返済に充てられる確実な資金)についても併せて確認しておきましょう。
現状の資金繰りの状況を把握して今すぐにでもできる改善策があれば必要以上のお金を借りずに済みます。
また、「なぜ資金が必要なのか?」という資金用途も明確化しておくことも、必要なだけの金額を調達する上で重要なプロセスです。
5-2 手元資金に余裕があるうちから資金調達を検討する
資金繰りの状況を分析した結果、今後厳しくなりそうであれば早めの資金調達を検討しましょう。
例えば、銀行融資の場合は審査もあり手続きと申請に時間がかかります。
支払のタイミングに間に合わない場合、黒字倒産の可能性も出てくるため、「手元の資金が減ってきたから資金調達を行う」のではなく、「資金繰り表で先を予測して早めの対応を行う」という姿勢・考え方を心がける必要があります。
5-3 融資なら資金繰り表などの必要書類の準備が必要になる
銀行融資で資金調達する場合は、事前に書類を準備しておく必要があります。
以下で基本的に必要となる書類を紹介するので、把握しておきましょう。
- 資金繰り表
- 事業計画書
- 試算表
- 決算書
- 納税証明書 など
6.資金調達や資金繰りに課題を抱えているなら専門家への相談がおすすめ
現在資金調達や資金繰りの課題を抱えている場合は、外部コンサルタントへの相談がおすすめです。
ここでは、外部のコンサルティングサービスを活用するメリットや、弊社リンクソートコンサルティングを ご紹介します。
6-1 外部のコンサルティングサービスを活用するメリット
資金繰り・事業再生のコンサルティングサービスを受けることで、専門家がプロの視点で自社の現状を把握し、改善までの道のりを提示してくれるため、早期の課題解決につなげられます。
また、銀行融資での資金調達や金融機関に対してのリスケジュールの交渉などのサポートも受けられるため、運転資金に余裕が生まれ資金ショートを回避できます。
さらに独自の専門家ネットワークを構築しているコンサルタントであれば、状況に応じて士業や不動産会社などへの連携を依頼することも可能です。
なお、コンサルティングサービスは多数あるため、以下のような観点から選定すると良いでしょう。
- 確かな経験・ノウハウと実績があるか
- 一時的な資金調達だけでなく、根本から再生まで導いてくれるか
- 豊富な専門家ネットワークを持っているか
6-2 リンクソートコンサルティングによるサポートの強み
資金繰り改善や資金調達でお困りの人は、ぜひ私たちリンクソートコンサルティングの事業再生コンサルティングサービスを ご検討下さい。
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まとめ 自社の状況を把握して適切な資金調達方法を検討しよう
法人が資金調達するケースは、資金繰り改善や新規事業の立ち上げ、設備投資などがあります。
今回紹介した資金調達方法を参考に、自社の状況や目的に応じて適切な手段を選択して下さい。
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