公開日:2026年4月28日 / 更新日:2026.04.28

資金繰りが厳しくなったらどうする? 経営者が最初に確認すること・優先する打ち手【アンケート調査】

資金繰りが厳しくなったらどうする? 経営者が最初に確認すること・優先する打ち手【アンケート調査】

資金繰りの不安は、ある日突然大きくなるものではなく、売上の変動や入金の遅れ、固定費の負担など、いくつかの要因が重なることで少しずつ深まっていくものです。だからこそ、苦しくなったときに何を先に確認し、どんな対応から着手するかは、経営判断を左右する重要なポイントになるといえます。

そこで今回は、経営者・役員、自営業の人200人を対象に、「資金繰りに不安が出たとき、まず状況を把握するために確認したい項目」と「資金繰りが厳しくなった際、優先して実行したい対応策」、さらに「資金繰りの悪化に備えるうえで、平時から最も重要だと思うこと」を調査しました。

回答を全体として見ると、資金繰りが苦しくなった場面で重視される確認事項や打ち手、そして日頃から意識されている備えには、一定の傾向が見えてきます。本記事では調査結果をもとに、資金繰りが厳しくなったときに経営者がまず把握しようとしていることと、優先しやすい対応の方向性について整理します。

Q1.資金繰りに不安が出たとき、まず状況を把握するために確認したい項目を選んでください。(複数選択可:注1)

注1:本設問は複数選択式ですが選択肢は2つまでに制限しています。これにより、状況を把握するためにまず確認したい項目をより明確に把握できるようにしています。

最も多かったのは「現預金の残高(いま使える資金)」で、53.5%(107人)と半数を超えました。資金繰りが苦しくなった場面では、まず「手元にいくらあるのか」を確認したいと考える経営者が多いことがわかります。将来の見通しを立てる前に、今この時点で動かせるお金を把握することが、判断の出発点になっているといえそうです。

次いで多かったのは「今後1〜3か月の支払い予定(給与、仕入、外注費、税金・社会保険、返済など)」の26.5%(53人)と、「今後1〜3か月の入金予定(売掛金の回収予定を含む)」の23.5%(47人)でした。ここからは、資金繰りに不安を感じたとき、多くの人が“今あるお金”だけでなく、“近いうちに出ていくお金”と“入ってくるお金”をあわせて見ようとしていることが読み取れます。特に支払い予定が入金予定をやや上回っている点からは、資金不足の局面では入金を待つよりも先に、避けられない支出の確認を優先する傾向もうかがえます。

一方で、「売上・受注の見込み(失注、キャンセル、受注減の影響を含む)」は13.5%(27人)、「借入金の返済スケジュール(返済日・返済額・残高)」は7.5%(15人)、「在庫の滞留状況(資金が寝ていないか)」は5.0%(10人)にとどまりました。これらは中長期的には重要な確認項目ですが、資金繰りに不安が出た直後の初動では、まず足元の現金残高や直近数か月の入出金予定の確認が優先されやすいと考えられます。

また、「わからない」が17.5%(35人)あった点も見逃せません。資金繰りが苦しくなったときに何から確認すべきかが定まっていない経営者も一定数いることがわかります。なお、「その他」は1.0%(2人)でした。

Q2.資金繰りが厳しくなった際、優先して実行したい対応策を選んでください。(複数選択可:注2)※外部支援を使う場合も、社内対応・調整を含めてお答えください。

注2:本設問は複数選択式ですが選択肢は3つまでに制限しています。これにより、資金繰りが厳しくなったときに優先して実行したい対応策をより明確に把握できるようにしています。

具体的な対応策の中で最も多かったのは、「経費削減・固定費の見直し(家賃、人件費、サブスク等)」の25.0%(50人)でした。資金繰りが厳しくなったとき、まずは毎月確実に出ていくお金を減らすことを優先する経営者が多いようです。固定費は一度見直すと効果が続きやすいため、比較的取り組みやすい打ち手として受け止められていると考えられます。

次いで、「支払いの優先順位付け/支払時期の調整」と「金融機関との交渉(当座貸越、追加借入、条件変更・リスケ等)」が、ともに14.0%(28人)でした。手元資金が厳しい場面では、まず支出のタイミングを調整しながら、必要に応じて外部からの資金確保も探るという、現実的な対応が重視されていることがわかります。

続いて、「事業計画・資金繰り計画の見直し」は12.0%(24人)、「仕入・外注・発注の抑制/在庫圧縮(在庫処分含む)」は10.5%(21人)でした。目先の資金不足への対応だけでなく、今後の資金の流れや発注量そのものを見直そうとする動きも一定数見られます。資金繰りの悪化を一時的な問題として処理するのではなく、事業運営全体を立て直そうとする意識もうかがえます。

また、「価格改定・粗利改善」は10.0%(20人)、「役員報酬の見直し/オーナー資金の投入(増資・貸付など)」は9.0%(18人)、「売掛金の早期回収(請求前倒し、督促、早期入金条件の提示など)」は8.0%(16人)でした。コスト削減だけでなく、利益率の改善や入金の前倒し、経営者自身による資金面の下支えなど、複数の方法を組み合わせて乗り切ろうとする考え方も見えてきます。

一方で、「税金・社会保険料の猶予/分納の相談」は6.5%(13人)、「不採算事業/不採算商品・サービスの縮小・停止」と「専門家への相談(税理士、中小企業診断士、金融支援機関等)」はともに5.5%(11人)、「取引先への支払い条件交渉(支払サイト延長、分割、猶予など)」は5.0%(10人)でした。制度の活用や外部への相談、不採算分野の整理も選択肢には入っているものの、最優先の一手としてはやや後ろに置かれているようです。取引先との交渉や事業の縮小は影響範囲が大きく、慎重に判断したいと考える人が多いのかもしれません。

さらに、「売掛金の資金化(ファクタリング等)」と「設備・遊休資産の売却」は、いずれも4.0%(8人)でした。こうした手段は即効性がある場合もありますが、コストや条件面の負担、実行のハードルもあるため、初手としては選ばれにくいとみられます。

また、「わからない」が27.0%(54人)と多かった点も印象的です。資金繰りが厳しくなったとき、打ち手の選択肢は多いものの、何を優先すべきか迷う経営者が少なくない実態がうかがえます。なお、「その他」は0.5%(1人)でした。

Q3.資金繰りの悪化に備えるうえで、平時から最も重要だと思うことを1つ選んでください。

具体的な備えとして最も多かったのは、「最低限の手元資金(運転資金○か月分など)を確保する」の21.5%(43人)でした。資金繰りが悪化したときに慌てないためには、まず使える現金の余力を持っておくことが重要だと考える経営者が多いようです。日々の経営が順調でも、不測の売上減や入金遅れは起こり得るため、平時から一定の資金を確保しておく姿勢が重視されていることがわかります。

次いで多かったのは、「固定費を適正化し、資金流出を抑えやすいコスト構造にしておく」の17.0%(34人)でした。毎月出ていく支出を抑えやすい体制を整えておけば、売上が落ちた局面でも資金繰りの悪化を和らげやすくなります。平時のうちにコスト構造を見直しておくことを、備えの基本と考える人も少なくないようです。

続いて、「月次(できれば週次)で資金繰りを可視化し、早期に異変を把握できる体制をつくる」は15.0%(30人)でした。手元資金の確保や固定費の見直しと比べるとやや低いものの、異変を早くつかむための仕組みづくりも重要な備えとして認識されています。問題が大きくなる前に気づけるかどうかが、その後の対応のしやすさを左右すると考えられているのでしょう。

一方で、「回収条件・支払い条件を整え、キャッシュが詰まりにくい取引構造にする」と「外部専門家(税理士等)を活用し、早期に課題を発見・対応できる体制をつくる」は、ともに6.0%(12人)でした。さらに、「金融機関へ早めに相談できる関係と調達枠(当座貸越等)を整えておく」と「粗利改善・売上の柱づくりを進め、売上変動への耐性を高める」は、いずれも5.5%(11人)です。これらはどれも有効な備えではあるものの、最も重要なことを一つ選ぶ設問では、まずは手元資金や固定費のように、より直接的でわかりやすい備えが優先されやすいことがうかがえます。

なお、「わからない」は22.5%(45人)で全体では最も多く、「その他」は1.0%(2人)でした。資金繰り悪化への備えは選択肢が幅広く、何を最優先と考えるべきか迷う経営者も一定数いることが見て取れます。

まとめ:アンケートから見えた、資金繰りが厳しいときの判断軸

今回のアンケート結果から見えてきたのは、資金繰りに不安が出たとき、経営者がまず重視しているのは、難しい理屈よりも、足元の状況をできるだけ早くつかみ、すぐに動ける対応を考えることだという点です。見通しの立てにくい局面だからこそ、まず現状を落ち着いて整理し、そのうえで何を優先するかを判断しようとする姿勢が、全体を通してうかがえました。

また、資金繰りへの対応は、単にお金を増やすことだけではないことも印象的です。日々の支出のあり方を見直すことや、今後の資金の流れを把握しやすくしておくことなど、経営の土台を整える視点が強く意識されています。資金繰りの問題は、その場しのぎで対応するものではなく、普段の経営の積み重ねが表れやすい課題だといえそうです。

その一方で、何を優先すべきかわからないと感じる人が少なくないこともわかりました。資金繰りの悪化は、どの会社にも起こり得る身近な経営課題ですが、実際に直面したときには判断に迷いが生まれやすいものです。だからこそ、苦しくなってから慌てて考えるのではなく、普段のうちから確認すべきポイントや対応の順番を整理しておくことが大切なのかもしれません。

資金繰りの悪化は、対応が遅れるほど選べる手段が限られやすくなります。経営判断の精度を高めるためには、状況を可視化し、優先順位を明確にし、必要な対応に早めに着手できる体制を整えておくことが重要です。今回のアンケート結果は、その基本をあらためて示す内容だったといえるでしょう。

リンクソートコンサルティングでは、資金繰りの安定化、事業の黒字化、金融機能の正常化に向けた支援を行う「資金繰り・事業再生コンサルティング」を提供しています。

資金繰りに悩んだときに確認しておきたい考え方や支援内容を知りたい方は、ぜひリンクソートコンサルティングのまでご相談ください。

【コラム著者】

代表取締役 道家 健一

株式会社リンクソートコンサルティング
代表取締役 道家 健一

中小企業の資金繰り・事業再生支援は1,000社以上。
「ホンマでっか!?TV」番組出演、「お金を回収する交渉技術」著書、セミナー・講演の実施など、多数の実績あり。

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